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努力する人間になってはいけない

学校と仕事と社会の新人論

著:芦田 宏直

紙版

内容紹介

哲学者であり、教育者でもある芦田宏直先生が2001年以来書き続けてきたブログ記事や、専門学校校長時代の式辞、2010年の講演録などを大幅に加筆・修正してまとめたものです。「教育とは<新人>の産出・発見」という筆者は、若者に勉強や仕事の本質をわかりやすく説く一方で、個性重視の教育や、「キャリア教育」「コミュニケーション教育」に力を入れる教育の現状を鋭く批判します。さらに、読み進むにつれて内容は深みを増し、現代に蔓延する「機能主義」の問題点、独自の視点で見たツイッター論、ハイデガーの説を解釈した「新人論」まで、読む者を「知」の世界にいざないます。
仕事や勉強への心構えが変わる提言から、思わずホロリとするいい話、理解できそうでできない頭の中をひっかきまわされるような内容まで、何度も読み返したくなる、中身がぎっしり詰まった1冊です。

目次

まえがきにかえて―「話体表出の方法」について

第1章 努力する人間になってはいけない
―― これから社会人になるあなたたちへ
■努力する人間になってはいけない 
■イノセントであってはならない 
■単純な仕事にほど差異がある 
■マーケットは会社の〈外部〉にあるわけではない
■〈顧客満足〉とは何か 
  
第2章 掛け算の思考 割り算の思考
―― これから勉強を始めるあなたたちへ
■自立してはいけない 
■掛け算の思考、割り算の思考 
■読書〈初級〉〈中級〉〈上級〉 
 
第3章就職活動への檄20箇条
―― 大きな企業が有利な本当の理由
■「一流」とは何か
■就職活動、出陣の言葉―― できるだけ大きな企業を目指しなさい
■就職活動開始の学生諸君に贈る「就職活動への檄20箇条」
■八王子・大学セミナーハウスの青春
―― 進路とは進路を考えなくても済む専門性を身につけること 

第4章「読書」とは何か
―― 本を読める人はわからないことを恐れない人
■読書の方法と無方法―― なぜ読めないのか 
■テキストを読むとは、何を意味するのか
―― 福沢諭吉『独立のすすめ』感想文コンクールの審査結果が発表されました
■「コピペ」は本当に悪いことなのか
―― NHK「クローズアップ現代」の視点は不毛 

第5章 家族は「社会の基本単位」ではない
―― 家族の社会性と反社会性について
■小田急線の少年に出会う
―― 大人と子供との出会いがこんなにも楽しいなんて(春は近い)
■予備校営業が突然家にやってきた―― リビングの家族の顛末 
■老兵は消え去るのみ―― 息子の太郎がわが家を巣立つ 
■散髪屋にて―― 勤労感謝の日を祝して 

第6章 なぜ、人を殺してはいけないのか    
―― 愛の自由と出生の受動性
■なぜ人を殺してはいけないのか―― 一つの〈責任〉論 
■人間の病気は、機械の故障と同じではない 
■コミュニケーションは沈黙の中にある
■女性とは何か―― 女性にとって男性とは何か

第7章 学校教育の意味とは何か
―― 中曽根臨教審思想から遠く離れて(個性・自主性教育はいかに間違ったのか)
■学生は〈顧客〉か――〈学校教育〉とは何か 
■学校教育と生涯学習と家族と   
―― 中曽根臨教審思想の呪縛(学ぶことの主体とは何か)
■〈シラバス〉はなぜ機能しないのか―― 大綱化運動の経緯と顛末 
■大学全入時代におけるカリキュラムとは何か(インタビュアー・田村耕太郎)

第8章キャリア教育の諸問題について
―― 学校教育におけるキャリア教育とは何か(ハイパー・メリトクラシー教育批判)
■接遇=コミュニケーション能力と専門教育と 
―― キャリア教育は本来の学校教育を衰退させる 
■大学における「キャリア教育」の行方
―― 就職センターの充実する大学はカリキュラム改革に向かわない
■なぜ専門学校は「コミュニケーション能力」に走るのか
―― 技能教育と技術教育とハイパー・メリトクラシーと 

第9章ツイッター微分論
―― 機能主義批判と新人論と
■気仙沼はどうなっているのか… ――「港町ブルース」と大震災 
■機能主義とメディアの現在―― 学校と仕事と社会の新人論(講演)
1 機能主義とは何か
2 機能主義の蹉跌 
3 環境とは、後からやってくるもの
4 データベースと後悔 
5 近代の問題 
6 ツイッターにおける自由と平等 
7 ツイッターにおける検索主義の解消 
8 1990年代中盤から始まったオンライン自己現象 
9 消費社会における知識のあり方 
10 IT社会(高度情報化社会)と「オンライン自己 」
11 ツイッターの〈現在〉の限界とポストモダン 
12 〈新人〉の発掘としての学校教育 ―― ハイデガーのエネルゲイア論と大学

第10章  追悼・吉本隆明
―― 機能主義批判としての言語の〈像〉概念
■吉本隆明、NHK出演その後
―― 自己表出の「沈黙」は唯物論的であることについて
■「検索バカ」と「自己表出」の反ファンクショナリズムについて 
■追悼・吉本隆明 

あとがきにかえて ―― キャリア教育と高等教育のグランドデザインについて 
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著者略歴

著:芦田 宏直
1954 年京都府生まれ。早稲田大学大学院博士後期課程満期退学(哲学、現代思想専攻)。学校法人小山学園理事・東京工科専門学校(現東京工科自動車大学校)校長、東海大学教授を経て、現在、人間環境大学・副学長(岡崎学園理事)、河原学園・副学園長、辻調理師専門学校グループ顧問、上田安子服飾専門学校顧問。2000 年度労働省「IT化に対応した職業能力開発研究会」委員、2003 年度経済産業省「産業界から見た大学の人材育成評価に関する調査研究」委員、2004 ~ 2007 年度文部科学省「特色ある大学教育支援プログラム」審査部会委員、2008 年度文部科学省「質の高い大学教育推進プログラム」審査部会委員などを歴任。著作に『書物の時間― ヘーゲル・フッサール・ハイデガー』、翻訳(監訳)にJ . ‐ L . マリオン著『還元と贈与 ― フッサール・ハイデガー現象学論攷』などがある。東京都品川区北品川在住。
Twitter アカウント:@jai_an
Facebook、LinkedIn:芦田宏直
BLOG「芦田の毎日」:http://www.ashida.info/blog/

ISBN:9784947767127
出版社:ロゼッタストーン
判型:4-6
ページ数:496ページ
定価:2800円(本体)
発行年月日:2013年09月
発売日:2013年09月02日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JN