内容紹介
3・11から8年の歳月が流れた―。あの日、大震災の驚愕と放射線被曝の恐怖にうち震えながら自宅を離れ、故郷を奪われ、家族がバラバラにされ、仕事も学校も友達も、地域社会さえも奪われた被災者、避難者は、どのような思いでこの年月を過ごしたことだろう。
事実を否定し、責任逃れを続ける電力会社の傲慢な姿勢や、避難者を切り捨てる日本政府の冷酷な棄民政策に直面するたび、避難者はいかに心を切り刻まれたか。それでも、ともに生きる社会を作り、人間らしい暮しを取り戻すため、汗を流し、涙を流しながら、事態を打開しようと懸命に闘う人々がいる!
2019年2月20日、横浜地方裁判所の「勝訴判決」を獲得した福島原発かながわ訴訟原告団、弁護団、支援する会は、人間の尊厳を賭け、命と暮らしを守り、この国に民主主義を復活させるための第一歩を踏み出した。次なる戦いを構築すべく、4月20日、決意を新たにするためのシンポジウムを開催。
本書はそのシンポジウムの全記録となります。
目次
■まえがき
■第1章 判決の法的問題点(黒澤 知弘)
■第2章 巨大な危険を内包した原発、それを安全だと言った嘘(小出 裕章)
■第3章 しきい値なし直線(LNT)モデルを社会通念に(崎山 比早子)
■第4章 原発訴訟をめぐって――民衆法廷を(村田 弘)
■第5章 なぜ原発裁判で否認が続くのか(佐藤 嘉幸)
■質疑応答
■あとがき
■巻末資料
著者略歴
他著:前田 朗
1955年札幌市生まれ。東京造形大学教授。原発を問う民衆法廷(原発民衆法廷)判事を務める。日本民主法律家協会理事、日本友和会理事、国際人権活動日本委員会運営委員。著書に『原発民衆法廷①~④』(共編著、三一書房)、『『脱原発の哲学』は語る』(佐藤嘉幸・田口卓臣・村田弘との共著、読書人)、『軍隊のない国家』(日本評論社)、『旅する平和学』(彩流社)、『ヘイト・スピーチ法研究原論』(三一書房)、スペース・オルタ企画を書籍化した『思想の廃墟から――デーモンクラシーといかに闘うか』(鵜飼哲・岡野八代・田中利幸と共著、彩流社)、『思想はいま何を語るべきか――福島・沖縄・憲法』(高橋哲哉と共著、三一書房)など。
他著:小出 裕章
1949年東京都生まれ。元京都大学原子炉実験所助教、原子核工学専攻。1970年秋、東北大学工学部原子核工学科の学生時代に女川での反原発集会に参加して以来、反原発の立場を取る。3・11原発事故を受けて、初期の段階で炉心溶融と格納容器破壊の可能性を指摘し、周辺住民、特に子どもの被曝を減らすよう発言。巨大科学を扱う科学者としての倫理を全うしようと発言し続けてきた。著書に『原発のウソ』(扶桑社新書)、『原発と戦争を推し進める愚かな国、日本』(毎日新聞出版)、『100年後の人々へ』(集英社新書)、『原発と憲法9条』(遊絲社)など。
他著:崎山 比早子
千葉大学大学院医学研究科修了。医学博士。マサチューセッツ工科大学研究員、放射線医学総合研究所主任研究官を経て、原子力資料情報室前代表・故高木仁三郎氏が「市民科学者」を育成するために創設した高木学校のメンバーとなる。元国会東京電力福島原子力発電所事故調査委員会委員。原発事故避難者による京都地裁の損害賠償訴訟では、原告側証人として低線量被曝の危険性を明らかにしつつ、「避難の権利」の必要性を訴えた。ふくかな訴訟でも、低線量被曝問題について原告側に協力している。著書に『母と子のための被ばく知識——原発事故から食品汚染まで』(新水社)、『レントゲン、CT検査——医療被ばくのリスク』(共著、ちくま文庫)など。
ISBN:9784924671409
。出版社:読書人
。判型:A5
。ページ数:114ページ
。定価:1000円(本体)
。発行年月日:2019年07月
。発売日:2019年07月01日
。国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:KN
。国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:THY。