出版書誌データベース

自然災害やパンデミックが見舞われた中で、政治は権力化が進み、格差社会が到来している。
その中で、芥川賞・直木賞作家たちの小説が、個人や社会とのかかわりをどうとらえて表現し
ているかを批評する。また、戦前から戦後社会を生き抜いた先行作家・松本清張や井伏鱒二の
文学を論じる。

《現代文学と政治社会》
元号と文学―天皇制と文学―／権力化に抗する文学と思想／コロナ禍の中の思想と政治Ⅰ／コロナ禍の中の
思想と政治　Ⅱ／AI時代の文学と思想
《現代小説概観――文学賞の現代作家たち》
格差社会における芥川賞作品／『少年と犬』と『心淋し川』――連作短編を読む／『八月の御所グラウンド』
と『ともぐい』／女性作家たち―川上弘美・林真理子・板東眞佐子―
《松本清張余滴》
清張ミステリーと鉄道――日本近代が見えてくる／清張小説のなかの俳句／『昭和史発掘』のなかの文学者た
ち／『赤い氷河期』―エイズ禍の近未来サスペンス―
《井伏鱒二論》
戦前から戦中へ／戦後／『黒い雨』から晩年へ

著：綾目広治
1953年広島市生まれ。京都大学経済学部卒。文芸評論家、ふくやま文学館館長、ノートルダム清心女子大学名誉教授。「千年紀文学」の会、日本社会文学会、日本文藝家協会会員。著書に、『脱=文学研究　ポストモダニズム批評に抗して』（日本図書センター、1999年）、『倫理的で政治的な批評へ　日本近代文学の批判的研究』（皓星社、2004年）、『小川洋子　見えない世界を見つめて』（勉誠出版、2009年）、『松本清張　戦後社会・世界・天皇制』（御茶の水書房、2014年）、『教師像―文学に見る』（新読書社、2015年）、『惨劇のファンタジー　西川徹郎　十七文字の世界藝術』（茜屋書店、2019年）、『述志と叛意　日本近現代文学から見る現代社会』（御茶の水書房、2019）、『小林秀雄　思想史のなかの批評』（アーツアンドクラフツ、2021年）、『岡山エンタメ文学』（日本文教出版「岡山文庫」、2023年）。『悟りと破戒と救済と―日本近代文学と仏教』（アーツアンドクラフツ、2024年）など多数。