2021年5月、決然として世に問うた渾身の第一詩集『その他の廃墟』から3年。
待望の第二詩集が登場。
太古から永遠の未来にわたり七つある海への船出の詩は、すでに不穏な呟きとともに始まりを告げる。
【著者ノートより】
海は太古から、永遠の未来にわたり七つある。火の海に沈もうとする船上、もう港を出ることさえ叶うまい。 呪文のように「七つの海」の名を唱えはじめる宣教師たち...。ドアをノックする音が、いまも止む気配がない。
たくさんの針金に巻きつかれた生活、締め上げられる悲鳴。吐いてきた無数の嘘と唾液。 死ぬことが少しも怖くないというのは、とても大きな罰を受けているように思えるのはどうしてだろう。 作家・佐藤亜紀が『バルタザールの遍歴』のなかで書いている。
「マクベスだろうとロミオだろうと、自業自得でない悲劇などありえない。 全く自分の所為ではない不幸が次々に襲い掛かってくる芝居があったら、抱腹絶倒の大喜劇に違いない...」
『耳泥棒』を読み終えパタンと閉じて、僕は化物のような白い歯を見たようで、嗤いが止まらなかつた。 まるで大喜劇の名俳優が、舞台上で拍手喝采を浴びたような良い気分なのだった。
著者自身による作品の註が別冊(中綴じ8ページ)付き。
☆書肆梓から同時出版される画本(バンド・デシネ)『耳泥棒』(寝暮)は、この詩集に触発されて生まれた作品です。現代詩の極北と画本のスパークもお楽しみいただけます。☆