伊藤整とモダニズムの時代
文学の内包と外延
著:曾根 博義
他編:佐藤 健一
他編:紅野 謙介
内容紹介
「言葉に覆い隠されたもの、遮蔽され見えなくなった人物や出来事、そして人々が背負って生きた時間に、曾根のまなざしは向けられた」……紅野謙介
雑誌や書籍への目配り、人への好奇心が一体となった論考は、モダニズムの水脈をたどり、研究の可能性を押し広げて、今なお文学研究の最前線に位置する。
目次
はじめに―解説に代えて―(紅野謙介)
第1章 伝記・書誌的研究からの始まり
詩人伊藤整
我といふ人の心―『伝記 伊藤整』を書き終えて―
作家の伝記 記述の方法―『伝記 伊藤整』を手がかりに―
伊藤整年譜・書誌作りの体験
詩人の経済生活―小樽市中学校教諭時代の伊藤整について―
公開された伊藤整「太平洋戦争日記」
第2章 拡張する放物線
麻布飯倉片町
『文芸レビユー』創刊前後
詩から小説へ―昭和四年の伊藤整―
フロイト受容の地層―大正期の「無意識」―
フロイト受容の地層(続)―大正から昭和へ―
フロイト受容の地層(三)―川端康成から伊藤整へ―
「感情細胞の断面」の戦略
フロイトからジョイスへ
第3章 点と線をつなぐ
川端康成『小説の研究』の代作者
ジョイスと芥川龍之介―ジョイス受容史の点と線(一)―
『失われた時を求めて』と『ユリシーズ』の紹介者―ジョイス受容史の点と線(二)―
「内的独白」の紹介と受容―ジョイス受容史の点と線(三)―
ジョイスと永松定の青春―ジョイス受容史の点と線(四)―
辻野久憲をめぐる物語
辻野久憲をめぐる物語(二)
第4章 文学の内包と外延
回覧雑誌『夕づゝ』の出現―百年前の一高の文学青年たち―
異端の弟子―夏目漱石と中村古峡(上)―
異端の弟子―夏目漱石と中村古峡(下)―
異端の弟子―夏目漱石と中村古峡(補遺)―
曾根博義著作リスト(尾形大編)
初出一覧
おわりに(山岸郁子)