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倭建命物語論

古事記の抒情表現

著:小野 諒巳

紙版

内容紹介

歌は物語の中でどのような役割を果たしているのか

ヤマトタケルの物語にみえる、個々の歌とその歌い手を中心とする登場人物の関係性とを考察。『古事記』に独自の表現や記事配列を踏まえて物語全体の中に位置づける。
歴史的事跡である国土平定が、なぜ一人物の抒情的物語として描かれたのか—享受者の記憶に定着させ、「語り継がれるための工夫」を見出す。

目次

 はじめに
 本書の概要
 凡例

序論 『古事記』の倭建命物語
 Ⅰ 倭建命西征と神話
 Ⅱ 倭建命東征の表現
 Ⅲ 倭建命の名について

第一章 倭建命の「建荒之情」―被派遣者の資質―
 はじめに
 一 「建荒之情」の先行研究
 二 「建」の解釈
 三 「荒」の解釈
 四 倭建命の「建荒之情」
 おわりに

第二章 出雲の掌握と刀剣讃美―「さみなし」歌の解釈から―
 はじめに
 一 出雲建討伐条の先行研究
 二 「さみなし」の解釈
 三 「出雲建が佩ける大刀」と「あはれ」
 四 『古事記』における大和王権と出雲
 おわりに

第三章 弟橘比売命入水条の表現―象徴化の方法―
 はじめに
 一 倭建命物語における入水条の記載意義
 二 「さねさし」歌の記載意義
 三 「さねさし」歌と「覆奏」
 おわりに

第四章 酒折宮問答歌の時間意識―月立問答歌への展開―
 はじめに
 一 酒折宮問答歌の先行研究
 二 倭建命の時間意識―記25の表現―
 三 記26の表現効果―東征のとじめを告げる歌―
 四 酒折宮問答歌の位置づけ
 おわりに

第五章 月立問答歌の敬語表現―男女唱和の視点から―
 はじめに
 一 倭建命と美夜受比売の物語
 二 「月立たなむよ」の解釈
 三 男女の唱和歌における敬語表現
 四 倭建命物語における「期」の文脈
 おわりに

第六章 白猪神への「言挙」―「言向」から逸脱する倭建命―
 はじめに
 一 言向と言挙
 二 伊服岐能山の「白猪」と五十葺山の「大蛇」
 三 皇命の言向と倭建命の言挙
 おわりに

第七章 「一つ松」歌の役割―疲弊と思慕とを語る歌―
 はじめに
 一 「一つ松」歌の解釈
 二 倭建命と松樹との対比
 三 尾張に向かう一つ松と「御刀」の表現
 おわりに

第八章 思国歌にみる倭建命の忠心
 はじめに
 一 思国歌の先行研究
 二 記31の解釈
 三 倭建命物語における記31の位置づけ
 おわりに

第九章 倭建命辞世歌の役割―東征の終焉を告げる歌―
 はじめに
 一 記33の周辺に関する先行研究
 二 「嬢子の床辺」歌の解釈
 三 「嬢子の床辺」歌の役割
 おわりに

第十章 倭建命葬送条における「倭」と「天」
 はじめに
 一 倭建命葬送条の先行研究
 二 妻子による葬送の意義
 三 八尋白智鳥の行方―「天」の解釈―
 おわりに

結論

 初出一覧
 あとがき
 英文要旨
 索引(事項・引用文献・歌番号)

著者略歴

著:小野 諒巳
1986年 北海道生まれ
2015年 國學院大學大学院文学研究科博士課程後期単位修得退学
2018年 博士(文学)取得 (國學院大學)
現在 國學院大學兼任講師
専攻 日本上代文学
著書・論文『古事記歌謡注釈 歌謡の理論から読み解く古代歌謡の全貌』(共著、新典社、2014年)

ISBN:9784909832023
出版社:花鳥社
判型:A5
ページ数:280ページ
価格:6000円(本体)
発行年月日:2019年02月
発売日:2019年03月08日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:FB
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:1FPJ