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30歳からの漢詩エントリー

それは「どう生きるか」を考えること

著:山口 謠司

紙版

内容紹介

漢詩とは――。
大人の教養、知性の最高峰、時空を超える異才たちの文学。
ディストピアとユートピア、欲望と無心、絶望と希望、知と情。
希望なき世界を見た詩人が到達した境地。


それを知らないまま大人になるなんて!




【本文より抜粋】

日本の文学として高校三年生で必修になっていた「漢文」は必修ではないし、

それ以上にもう森鴎外の『舞姫』も、夏目漱石の『こころ』も学びません。

多くの高校生が「国語」の授業で学ぶのは、「論理国語」と呼ばれる「契約書」などの文章なのです。



漢文は、「簡素」をもって「旨」(もっとも大切なこと)とします。

漢文を使って文章を書いていた人たちは、書いたものを何度も頭の中で繰り返し、

不必要なものを切り捨てていきました。

書き捨てる文章とは違って、何かを伝えようとする熱いものがあればあるほど、

文章は複雑な層が重なりあうような姿になっていきます。



漢文や漢詩を読むために必要な基礎知識は、はっきり言ってありません。あるとすれば、

「自分がどう生きるのか」を考えることが、漢文や漢詩を理解し楽しむ道を作ってくれるでしょう。

目次

序 章 時空を超えて共振する
音によって感情を共有/音によって感情を共有/『楚辞』が示す感じ方の違い、生き方の違い/文明を「編集」した孔子/「よこしまな思いのない詩」とは/知の『詩』、情の『楚辞』/そして心の奥深くまで届く

第一章 陸游、絶望のなかのユートピア
泡沫のユートピア/驚きの時間感覚/千年前の溜め息/詩を書いて心を満たす/きっといつかは桃源郷に/むなしさを埋めるための九千首

第二章 漱石、東洋的理想郷への希求
江戸の終焉とともに/寄席と漢詩と子規と/子規からの最後の手紙/不連続の連続/死を意識して/「隠逸」という理想/「則天去私」へと続く道/漱石、最期の詩

第三章 杜甫、生きるためのラブレター
五言絶句の奇跡/杜甫を絶句させた天才/四千年に一度の出会い/続かなかった「平和な時代」/李白を想い続けて/政治批判の詩を書いても伝わらず/破壊された長安で/酒で憂さを晴らす日々/弱い者への視線/漢詩の原点/李白の死、杜甫の死

第四章 蘇東坡、「楽しむ」へのこだわり
左遷と豚肉/文人一家と保守・革新の攻防/「死の覚悟」から始まる/「寒食帖」の数奇な運命/「所有」を問う/文人の願い/宿敵に詩を贈る/「楽しむ」という言葉は唐代から/時の流れと老い/憂いを忘れる/笑いの「豊かさ」

第五章 河上肇、共産主義と挫折と
桃源郷への道/共産主義という理想/獄中で漢詩を学ぶ/ユートピアはどこにある/社会を変革するか、社会から逃げるか/儒家が目指した理想郷/「碩鼠」と孔子と河上肇/友人に疎まれ、動けず、気力もなし/「桃花源詩」に見るユートピア/仙人になるための薬/結界を引くようにして

終 章 古代中国の「心」を探る
音で楽しむ/数学との共通点/書き捨てる文とは違って/心を共鳴させれば/「漱石」「獺祭魚」からさかのぼる/音を並べる技「平仄」/意味を深める技「対句」 

著者略歴

著:山口 謠司
中国学研究者(専門は文献学、書誌学、日本語史など)、博士(中国学)、平成国際大学学術顧問、大東文化大学名誉教授、中国山東大学客員教授。一九六三 年、長崎県に生まれる。大東文化大学文学部大学院博士課程後期在学中、東洋文庫兼任研究員を経てケンブリッジ大学東洋学部共同研究員となる。同時に、フランス国立高等研究院人文科学研究所博士課程後期に在籍。帰国後は大学で教鞭をとるかたわら、イラストレーター、書家としても活動している。著書に、『妻はパリジェンヌ』(文藝春秋)、第29 回和辻哲郎文化賞を受けた『日本語を作った男』( 集英社インターナショナル)、『ん―日本語最後の謎に挑む』(新潮新書)、『唐代通行『尚書』の研究』(勉誠出版)、『文豪の凄い語彙力』(新潮文庫)、『これだけは知っておきたい日本の名作』(さくら舎)などがある。

ISBN:9784907623692
出版社:dZERO
判型:4-6
ページ数:280ページ
価格:2200円(本体)
発行年月日:2024年04月
発売日:2024年04月26日