1980年代後半に発見された高温超伝導体は、液体窒素温度をはるかに超える高い超伝導温度を示し、それまでの固体物理学の常識を根底から打ち崩すものだった。当時、新聞には「今日の超伝導転移温度」などという記事が連日掲載されたというから、高温超伝導体の経済や市民生活への波及効果がいかに期待されていたか、容易に想像できる。医療機器MRIやリニアモーターカーなど、今ではすでに日常生活で多くの実用例を見ることができる超伝導技術だが、世界の高温超伝導体研究を牽引したのは、日本の若き研究者たちであった。本書は、高温超伝導体発見初期において、彼らがどのように考え、行動していたかを、自身の言葉で綴った貴重な記録である。