貧困、戦争、独裁政権による検閲、事故、病、障害……アーティストはいつの時代もままらない運命に翻弄されてきた。
なぜ当事者はトラウマを表現するのか?
「私が今からするアートの話は、喪失経験の〈その後〉である。
ゼロからの創造ではない。マイナスからプラスへの復活をとげるような希望に満ちた作品もあれば、マイナスからさらにマイナスの方向に墜落していく絶望に満ちた作品もある。希望と絶望がないまぜになったアートの世界を探求したい。そこにこそ美がある、とい
うのが私の直観である。」(本文より)
本書はトラウマの発見・医療化、アートセラピーの歴史を紐解きながら、トラウマ的経験を作品で表現するウィリアム・オーペン、ジャクソン・ポロック、ニキ・ド・サン・ファル、香月泰男といったアーティストの来歴と作品を振り返る。
様々な困難に見舞われてもアーティストたちを創作へと突き動かすものとは何か。「当事者にとってアートとは何か?」について語る。