出版社を探す

希望の保育実践論 Ⅰ

保育の中の子どもの声

自分の声を聴きとられる心地よさ 多様な声を響き合わせるおもしろさ

著:加藤繁美

紙版

内容紹介

困難さが増すなかで、それでも保育の力を実感し、その豊かな可能性に希望を託し、時代を拓く対話的保育の実践を探り続ける保育者たちに贈る、著者渾身のメッセージ!
シリーズ一冊目は、子どもの権利条約の時代に求められる「子ども観」と、新たな「保育者―子ども関係論」の提案です。私たちが未だ経験したことのない、多様性の時代の集団保育をいかにして創造するか? 保育の中の「子どもの声」を鍵概念として読み解いていきます。
 

目次

【もくじ】
シリーズ「希望の保育実践論」をお届けします
はじめに

第1章 自分の声を聴きとられる権利 子どもの声を聴きとる責任
    ――子どもの声に耳を傾ける意味
  1 保育における「子どもの声」
  2 保育者が「子どもの声」に耳を傾ける意味
  3 子どもの声は七転八倒する実践とともに
  4 関係創造的実践として展開される保育の営み
  5 子どもの声に耳を傾けるというけれど
  6 共感的応答関係のつくり方
   1)とりあえず共感の習慣
   2)適切な時間稼ぎ
  7 対等性・事実主義・葛藤原理
  8 自由を求める保育実践

第2章 声を持つ自由 発達する自由 協同する自由
    ――子どもの権利条約時代の子どもの声
  1 子どもは意味をつくる主体
   1)意味生成の知的能動性と知的創造性
   2)意味生成の個別性・協同性
  2 リスニングの保育実践論
  3 背後で広がる子どもを権利主体と考える思想
  4 「リスニングの保育」のジレンマ
   1)対等な市民としての子どもプロジェクト
   2)食事も活動も強制されない
  5 精神的自由と発達的自由
  6 教授優先型保育実践と放任型保育実践の間
  7 保育における迎合的関係と共感的関係
  8 声を持つ自由、発達する自由、協同する自由

第3章 リスニングと関係性の保育実践論
    ――対話の時代の子どもの声
  1 リスニングに反映される権力性
  2 自分の声が社会を変える
  3 開かれた話し合い・閉じられた話し合い
  4 未完成だから希望が持てる
  5 共感的・結論保留的・問い生成的関係
  6 脱力する関係は対話の必要条件
  7 「対話する主体」として育ち合う四歳児たち
  8 リスニングは「関係の網の目」の中で

第4章 逸脱と参画の保育実践
    ――多様性の時代の子どもの声
  1 多様性の時代の保育実践
  2 保育の中の「逸脱児」たち
  3 「はみだしっ子」から学べ
  4 「意味」と「記号」との不思議なつながり
  5 「逸脱」を仲間との関係に位置づけて
  6 「発達の物語」は関係性と時間軸の中に
   1)ダイキくん、天気予報コーナーのキャスターになる
   2)お天気コーナーにイノシシ情報加わる
   3)お天気情報、進化する
  7 違いがあるからおもしろい 違う自分が誇らしい
  8 逸脱と参画の保育実践

次刊に向けて

著者略歴

著:加藤繁美
(かとう しげみ)1954年、広島県生まれ。名古屋大学大学院教育学研究科博士前期課程修了。保育・幼児教育制度、保育実践の理論的・構造的研究に取り組む。博士後期課程在学中に山梨大学教育学部に着任、以降2018年まで在職、現在山梨大学名誉教授。2018~2022年、東京家政大学子ども学部教授。おもな著書に『子どもの自分づくりと保育の構造』(ひとなる書房、1997年)、『しあわせのものさし』(同、1999年)、『対話的保育カリキュラム〈上・下〉』(同、2007年・2008年、日本保育学会保育学文献賞受賞)、『記録を書く人 書けない人――楽しく書けて保育が変わるシナリオ型記録』(同、2014年)『子どもとつくる保育年齢別シリーズ(0~5歳児保育)』(監修、同、2011~2016年)、『保育・幼児教育の戦後改革』(同、2021年)他多数。

ISBN:9784894643000
出版社:ひとなる書房
判型:A5
ページ数:192ページ
定価:1800円(本体)
発行年月日:2023年10月
発売日:2023年10月17日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JNL
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:JNG