「心」と「身体」を別々のものとして扱う心身二元論。
本書は、そんな近代的な考え方を問い直し、人間を〈生きている身体〉として捉え直す、いわば「心身一元論」的な視点を提示する一冊である。
哲学・心理学・社会学・脳科学などの知見を横断しながら、感情の揺れや心身の不調、コミュニケーションの違和感といった、現代人が抱える違和感や息苦しさを、その背景にある思考の枠組みから照らし出していく。
「感情は心の中だけの出来事なのか」「身体は単なる入れ物なのか」。
こうした問いを通して、感情や認識、行為が、身体と社会との関係の中で、いかにして生まれているのかを丁寧に解き明かす。
長年にわたり哲学・社会学の研究と教育に携わってきた著者が、専門的な議論に閉じこもることなく、現代を生きる私たちの実感に寄り添いながら書き下ろした本書は、哲学を専門的に学んだことのない読者にも広く開かれている。
心と身体を分けてきた思考の先にあった、現代人の「生きづらさ」。
その根に潜む問題に、いま静かに、しかし確かな光を当てる。
※この書籍は2020年に出版された『「こころ」と「からだ」のリアリズム』のリニューアル版です。