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詩人・くどうなおこさんが、のはらを歩きながら耳を傾けたのは、動物たちや虫たち、風の声。それを詩として紡ぎ出したのが『のはらうた』です。たとえば、かまきりりゅうじ、かぜみつる、ふくろうげんぞう――彼らの生活や心の声が、優しく、時に力強く詩に込められています。
今回、その『のはらうた』が、あべ弘士さんの美しい絵とともに新たに生まれ変わりました。『のはらうた絵本』では、あべさんが描く繊細でありながらダイナミックなイラストが、くどうさんの詩の世界にぴったりと寄り添い、のはらの住民たちがまるで本の中で生きているかのように感じられます。風がそよぎ、虫たちが密かに囁き、動物たちが生きる喜びを語る――自然の豊かさと生命の力強さが、ページをめくるたびに溢れ出します。
『のはらうた』40周年を記念して出版された『のはらうた絵本』は、全25篇の詩とともに、子どもから大人までがのはらの声に耳を傾け、自然の美しさや楽しさを存分に味わえる一冊です。自然との対話を楽しむ特別な時間が、あなたを待っています。

著：工藤直子
工藤直子（1935年生まれ、台北出身）は、日本の詩人・童話作家。早稲田大学教育学部卒業後、詩や童話の創作活動を開始。特に子ども向けの作品で知られ、自然や日常の中に潜む美しさや生命の尊さを詩的に表現。代表作には、自然と動物たちをテーマにした『のはらうた』シリーズや『ともだちは海のにおい』などがある。親しみやすい言葉で幅広い世代に愛され、児童文学の分野で多くの賞を受賞している。現在も多くの読者に親しまれている作家の一人。

絵：あべ弘士
あべ弘士（1948年、北海道生まれ）は、日本の絵本作家・イラストレーターです。1972年から1995年まで旭山動物園で飼育員として勤務し、その経験を活かして動物をテーマにした作品を多く手掛けました。代表作には『あらしのよるに』（1995年、木村裕一との共作）、『ライオンのよいいちにち』などがあります。ユーモアと動物への深い理解を織り交ぜた独自の画風で、子どもから大人まで幅広い読者に親しまれています。2003年に講談社出版文化賞を受賞。