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＊2025年5月31日 日経新聞の読書面「あとがきのあと」に著者インタビュー掲載されました＊

「谷岡ヤスジ」も「物差し」の1つ !?
　「かたち」を「つくる」とはどういうことなのか。かたちをつくるための道具や素材に加えて、著者が制作上の「物差し」とする事物を挙げながら縦横に思考を巡らせる。

「名前もなき断片的なもの」＝「彫刻以前のかたち」の「つくりかた」のお話。「まだ何かわからないもの」を手探りで目に見えるかたちにするためのきっかけや、「知らないかたち」を引き寄せる方法について彫刻家が考察する。「物差し」としての「夢日記」と著者の作品図版を多数掲載。辞書を模して項目を50音順に並べるなど使える本を目論みつつ、役に立ちそうもないことを自認する「役に立たない使える本」ここに誕生！

はじめに

あ：飽きる／穴／アンビル／「蟻の巣」「青いカエルと赤いカエル」
い：椅子／インパクト・ドライバー／「石の部屋」「急ぎの用」
う：後ろ姿／嘘／ウマ／「宇宙人侵略」「海の中」
え：FRP／鉛筆／「演歌」「遠足」
お：置物／音／終／「お彼岸のモーター」「おじいさんとどろぼう」
か：鏡／壁／硬さ／紙／「角式」「川の中」
き：木／黄色／救急箱／「幾何学の庭」「ギター」
く：釘／グルーガン／「暗いお菓子」「九九の次」
け：景色／消しゴム／「結論」「県境」
こ：合板／言葉／コピー機／「洪水」「黒板は緑」
さ：蛹／笊／三角形／「猿の秘密」「3階の入口」
し：ジグソー／定規／「四角いイルカ」「城壁」
す：隙間／スクレーパー／スケッチ／「隙間の芝居」「相撲取りの店」
せ：積層／接着剤／千枚通し／「戦争」「背泳ぎ」
そ：掃除機／装着／「空色の蝶」「象語」
た：谷岡ヤスジ／旅／簞笥／「鮹」「ダイビング」
ち：チェスの駒／地図 ／「秩父の海」「チベットの大衆食堂」
つ：土／吊る／「月夜」「都合の歯」
て：ディスクグラインダー／デジタルカメラ／鉄／「天井の上」「出番」
と：透明／奴隷／トレーシングペーパー／「トルコの病院」「途中で」
な：眺め／斜め／波／「中庭」「軟転」
に：偽物／日用品／人間／「人間の剥製」「ニースの骨」
ぬ：抜け穴／盗む／「抜く」「布の上」
ね：ネジ／熱／粘土ベラ／「猫のはじまり」「ネパールの空」
の：鋸／糊代／「乗り換え」「野原 」
は：発泡スチロール／ハンダゴテ／「パイナップル」「斑猫」
ひ：光／筆記用具／表面／「人喰い」「悲鳴」
ふ：不規則／筆／「2人の巨人」「布団と水田」
へ：縁／変圧器／変更／「別人」「ペンギン」
ほ：棒／箒／ボリューム／「本能」「ホテルから」
ま：待つ／マンガのかきかた／万力／「真夜中」「マタニティー」
み：汀／未経験／三つの世界／「緑の黒人」「緑色の廊下」
む：無重力／矛盾／「無題」「無名」
め：迷路／メッシュ／目抜き／「目を閉じる」「目の前の巨人」
も：模型／模倣／「問題の男」「モルフォ」
や：野外／鑢／やり直す／「約束」「野生」
ゆ：有機的／有機溶剤／「ゆゆしき」「夕方から」
よ：容器／要素／「幼虫の監督」「夜の森」
ら：ラクガキ／落語／ラクソー／「雷神」「ラウンドテーブル」
り：リアル／リベッター／「りんごの木」「リリパット」
る：類似／ルーティン／ルール／「類似」「坩堝の王」
れ：例外／練習／連動／「連日の海」「練習」
ろ：濾過／ロマン／「路地で」「廊下で」
わ：輪／ワゴン／笑い／「わき水」「鷲」
を：遠方／「ヲジギ」「傍目」

ブレーメンの音楽隊はブレーメンに行ったのか――あとがきにかえて

キーワード索引
掲載作品リスト

著：伊藤誠
1955年愛知県生まれ。彫刻家。武蔵野美術大学教授。武蔵野美術大学大学院修了（修士）。1993年ACC奨学金により渡米。1996-97年文化庁在外研修員としてアイルランドに滞在。2005年タカシマヤ美術賞。
1980年代初頭より様々な画廊の企画で個展を開催。1992年「現代美術への視点・形象のはざまに」（東京国立近代美術館）、1995年「現代美術の場と空間《やわらかく、重く》」（埼玉県立近代美術館）、「視ることのアレゴリー1995：絵画・彫刻の現在」（セゾン美術館）、2000年「越後妻有アートトリエンナーレ2000」（新潟県十日町市）、2001年「第19回現代日本彫刻展」（山口県宇部市）、2017年「引込線2017」（埼玉県所沢市）、2022-23年「DOMANI・明日2022‒23：百年まえから、百年あとへ」（国立新美術館）ほかに出品。著書に『ぺらぺらの彫刻』（武蔵野美術大学出版局、2021年、共著）、『わからない彫刻 つくる編』（同、2023年、共著）など。主な収蔵先に東京国立近代美術館、宇都宮美術館、千葉市美術館、愛知県美術館、豊橋市美術博物館など。