これまで、弥生時代の生産や分業に関する研究は、社会発展を明らかにする重要課題として和島誠一や近藤芳郎、都出比呂志などにより早くから議論されてきた。しかし、包括的な視点から見通しが示されたものの、資料数が限られていた当時においては、具体的な実態解明には限界があった。また、弥生土器においては、野焼き土器という性質上、焼成施設や道具を検出することが難しく、その後の研究においても生産体制の変化を解明する糸口が見出しにくかった。
本書では、民族考古学的成果を援用し、製作時間を考慮した製作技術など、考古学的にはこれまで検討されなかった新たな観点を導入して、土器生産の展開を復元した。さらに、食事・調理方法という使用の側面や、朝鮮半島の土器生産との比較を通して、弥生時代の土器生産と分業化の特質を解明しようと試みた。社会的分業はどのような契機でおこるのであろうか?日本列島の分業の契機も他の地域と同じであるのか?本書は、その問題についての一つの答えを提示したものである。