アーレントと赦しの可能性
反時代的試論
著:森一郎
紙版
内容紹介
愛によるのでない、尊敬による赦しの可能性
イエスに学びつつ、宗教的ならざる、この世的な赦しの条件を追求するアーレントの思考
人間愛の美名の下に無世界性がはびこる時代に、赦される者と赦す者をともにあらたに始めさせる奇蹟はどこから来るのか。奴隷制に代わるロボット工学はどこへ向かおうとしているのか。革命思想はテロリズムといつから結びついたのか。生まれ出ずる者たちがともに事を為すとき何が起こるか。アーレントの二大主著『活動的生』と『革命論』の訳者が、時代に抗しつつ、来たるべき時代のための思考をひらく
目次
序――赦し・労働・テロリズム・出生
第一部 赦し
第一章 アーレントのイエス論――赦しの可能性
第二章 リクールとアーレント――赦しを中心に
第二部 労働
第三章 奴隷制問題の消息――テクノロジーの系譜学
第四章 ロボットの倫理――労働と人間のゆくえ
第五章 情報・知識・思考――『活動的生』第二三節より
第三部 テロリズム
第六章 革命精神とその影――テロリズムの系譜学
第七章 ミルトンと救いの可能性――『闘士サムソン』と9・11
第四部 出生
第八章 出生の危険について――デモクリトスとクローンの問題
第九章 始まりの経験――『活動的生』第二四節への一注解
第十章 誕生、行為、創設――『革命論』と始まりの問題
あとがき――反時代的ということ
初出一覧
索引