『大漢和辞典』で知られる諸橋轍次が最晩年に著した『広漢和辞典』には、白川静の考えとよく似た漢字解釈がある。白川静の字書『字統』の「まえがき」に残された『広漢和辞典』への激しい批判。その意味が白川静没後20年の年に初めて明らかになる。
文化勲章 VS 文化勲章の構図
「近年その(〔大漢和辞典〕の)要略本というべき〔広漢和辞典〕が出版され、字説の部分が全面的に改められている。ただその字説は一見して明らかなように、みだりに他家の研究をとり入れたもので、その拠るところをも明記せず、ときに俗説を交え、著しく体例を失ったものとなっている。」(白川静『字統』まえがき)/ 日ごろ温厚な白川静にして、かなり激しい感情がこもったように伝わってくる言葉だが、白川静は生前、この言葉の内容について、具体的に直接語ることはなかった。(本書「あとがき」)