本書は、定家の名歌の注釈である。選歌の規準として、千載、新古今、新勅撰入集歌、及び晩年の定家卿百番自歌合(前稿本の歌も含む)─―繁雑となるので、以下「百番」と略─―の歌は、重複があるが、洩れなくすべて入れた。周知のごとく千載集では、若き定家は父俊成の助手の役割を果たしたとおぼしく、定家自身も初の勅撰集入集である。次の新古今では、まさに脂の乗り切った円熟の極みであった定家が新古今歌壇を領導したのであり、人によく知られた秀歌も多い。三つ目の新勅撰は、晩年の定家の単独撰であり、百人一首の「こぬ人を…」の歌もここに入っている。これらに加えて、人口に膾炙した定家の歌も含めて、238首を注釈した。(「凡例」より抜粋)