プロローグ
〈コラム〉エリス島物語 アメリカ入国にあたり移民はどのような審査を受けたのか?
第1章 「アメリカ人」農夫クレヴクールが描いた先駆的〈メルティングポット〉
─「育ての母」の広い膝に抱かれて移民は「新しい人間」(アメリカ人)に生まれ変わった
はじめに
1 クレヴクールの生涯
2 手紙Ⅲ アメリカ人とは何者か
3 英領北アメリカ植民地時代の民族構成
4 「クレヴクール神話」の検証
むすび
第2章 フロンティアの〈るつぼ〉のなかでアメリカ人は生まれた
─歴史家ターナーの描いた〈メルティングポット〉
はじめに
1 ターナーの郷里ポーテージの地理的・社会的環境
2 「フロンティア学説」の形成
3 「フロンティア=るつぼ学説」の形成とその批判的再検討
4 ターナーは南・東欧からの新移民をどう見ていたか
むすび
第3章 ユダヤ系英国人作家の描いた〈神の聖なるるつぼ〉
─イズレイル・ザングウィルの戯曲から誕生した〈メルティングポット〉
はじめに
1 南・東欧からの移民の大波の到来
2 ザングウィルが戯曲『メルティングポット』を執筆した動機をめぐる謎
3 戯曲『メルティングポット』公演のインパクト
4 レトリックとしての〈メルティングポット〉の問題点とその見直し
まとめ
第4章 シオドア・ローズヴェルトの新移民同化政策
─二〇世紀初頭のアメリカ化運動と第一次世界大戦の影響
はじめに
1 新移民はホスト社会からどのように見られていたか
2 「金ピカ時代」と社会ダーウィニズム
3 シオドア・ローズヴェルトの人種理論
4 ローズヴェルトのアメリカ化運動とその問題点
まとめ
〈コラム〉メアリー・アンティンの自伝『約束の地』を読む
第5章 アメリカ化運動の実践とその問題点─クリーヴランド市の取組みを中心に
─ジェーン・アダムズらの草の根のセツルメント運動から学ぶ
はじめに
1 アメリカ化運動の背景に何があったのか
─新移民大量到来の衝撃と国民統合の危機
2 新移民のアメリカ化に自治体が果たした役割
─クリーヴランド市のアメリカ化運動の取組み
3 ジェーン・アダムズのセツルメント運動から学ぶもの
─新移民とアメリカ社会との結合機関としての公立学校の役割
4 フォード自動車会社のアメリカ化プログラム
─社会調査部とフォード英語学校の取組み
まとめ
第6章 文化多元論者による〈メルティングポット〉批判
─ホーレス・カレンとランドルフ・ボーンの思想の先見性とその限界
はじめに
1 「文化多元論」台頭の社会的背景
2 東欧系ユダヤ移民の到来と反ユダヤ主義の勃興
3 ホーレス・カレンの思想形成の背景
4 カレンの「民族連邦国家」構想とは何か
5 ランドルフ・ボーンの「トランスナショナル・アメリカ」構想
6 「文化多元論」の問題点とその限界
まとめ
第7章 社会学者による〈メルティングポット〉の実証的検証
─〈メルティングポット〉は一つではなく、エスニシティは溶けていなかった
はじめに
1 「トリプル・メルティングポット」モデルの提唱
2 一九五〇年代における宗教の復興と「トリプル・メルティングポット」モデル
3 人種のるつぼを越えて
─エスニシティは〈るつぼ〉のなかで溶けて消滅してはいなかった
4 〈メルティングポット〉の問題点はどこにあるのか
むすび
第8章 「多文化主義を」めぐる論争 アメリカは「分裂」に向かっているのか
─「多文化主義」をいかに乗り越えるか
はじめに
1 「多文化主義」台頭の背景に何があったのか
2 大学のカリキュラム改革をめぐる闘争
3 「多文化主義」をめぐるラヴィッチ/アサンテ論争
4 ニューヨーク州社会科カリキュラム改定をめぐる論争
5 ポストエスニック・アメリカ ─「多文化主義」を超えて
まとめ
第9章 新移民第二世代の同化はどこまで達成されたか
─計量的指標を用いた実証的調査によって明らかになった同化の実態
はじめに
1 同化の計量的指標化の試み
2 四つの計量的指標でみた同化の現状
① 言語の同化
② 社会経済的地位の同化
③ 居住の同化
④ 婚姻の同化
まとめ
第10章 白人はマジョリティの座から転落するのか
─「マジョリティ・マイノリティ社会」の幻想
はじめに
1 ニューカマーの大量到来が招いた人種民族構成の劇的変化
2 ヒスパニック系移民の増加によってアメリカは分裂するのか
──S・ハンチントンの「ヒスパニックの挑戦」をめぐって
3 はたして白人はマジョリティの座から転落するのか
まとめ
エピローグ 〈メルティングポット〉の復活をめざして
─「アメリカ人になる」ということは何を意味しているのか
はじめに
1 人種エスニック構成の多様化が現代アメリカ社会にもたらした変化
2 現代のニューカマーの同化をめぐる議論
3 「アメリカ人になる」ということは何を意味するのか
4 現代のアメリカにナショナル・アイデンティティは存在するのか
5 基本的な「アメリカ的価値」は国民の多数によって支持されている
──各種世論調査の結果によって明らかになったこと
6 白人はマジョリティの座から転落するというのは「大いなる幻想」
まとめ
〈コラム〉「分節化された同化」論とは?
あとがき