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本書でウェンデル・ベリーは、想像力を大事にする人文知（ヒューマニティーズ）の重要性を強調し、人文知の上に立ってこそ、大学教育の未来が築けるとの見解を示している。リベラル・アーツに立脚した深い洞察に満ちた教育論であるとともに、現代文明全体を広い視野で取り上げる深く鋭い問題提起の書。

訳者まえがき　鈴木順子

I　大学の現状：専門化と言葉の重要性
II　言葉の本質と大学の制限
III　大学の崩壊と「生命の木」
IV　「キャリア準備」教育の本質と「木の幹」教育
V 「学校での失敗」と「大学への期待と基準」
VI　「文学」を読むということ
VII　想像力と大学の産業（工業）化
VIII　大学が健全であるための問い

訳者あとがき　なぜ今、詩人ウェンデル・ベリーの教育論なのか！　宗宮弘明
解説　「大学の喪失：その再生への希望」を読む　三島浩路

著：ウェンデル・ベリー
1934年、米国ケンタッキー州の農家生まれ。1965年以降、同州ヘンリー郡で農業を営むかたわら、詩人、小説家、随筆家、評論家、哲学者として精力的に執筆活動を行う。T・S・エリオット賞ほか多数受賞。現代の米国を代表する人文学者の一人である。また長年、積極的に自然保全運動に関わり、環境活動家としても社会に大きな影響を与えた。それらの功績が認められ、2010年、オバマ大統領より国家人文科学勲章を授与された。

訳：鈴木順子
1965年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻博士課程単位取得満期退学。学術博士。フランス・ポワティエ大学大学院人文科学部哲学科DEA（哲学史）取得。
中部大学創造的リベラルアーツセンター教授。専門分野：フランス思想・哲学、フランス地域文化。
単著：『シモーヌ・ヴェイユ 「歓び」の思想』藤原書店（2023）、『シモーヌ・ヴェイユ 「犠牲」の思想』藤原書店（2012）、共著：『リベラルアーツと自然科学』水声社（2023）など。

訳：宗宮弘明
1946年名古屋市生まれ、名古屋大学大学院農学研究科博士課程満了。農学博士。
中部大学客員教授（中部高等学術研究所）、中部大学名誉教授、名古屋大学名誉教授。
専門分野：魚類生物学、環境生物学。
共編著：『魚の科学事典』朝倉書店（2005）、共訳書：『生態系サービスという挑戦』名古屋大学出版会（2010）、『樹の力』風媒社（2014）など。