はじめに
第1章 名古屋の都市イメージ形成
1 都市比較による名古屋のイメージ
(1)なぜ、名古屋は最も魅力のない都市と評価されるのか?
自己評価:高くないシビックプライドと魅力を感じない名古屋/他己評価:魅力に欠け、訪問したいと思われない都市・名古屋/名古屋の自己評価と他己評価
(2)11大都市のアピール度と札幌・横浜・神戸・福岡のイメージ形成
11都市別雑誌掲載頻度からみるアピール度(1900年〜1990年)/札幌:冬季オリンピックと雪まつりで全国区へ、観光等で独自色を打ち出す北の大都市/横浜:妖しい港町から伝統と先端の二面性を持つトレンディな都市へ大変身/神戸:混沌の港町からエキゾチックな港町へ大変身、そして大震災からの復興へ/福岡:アジアの交流拠点都市とまつりとグルメの懐の深さ
2 名古屋のイメージはどのように形成されたのか
(1)江戸から戦前の名古屋イメージの浮沈…24
江戸時代:格式高い名古屋 京がさめるほどの繁華とその後の消沈/明治以降から戦前:工業都市の成長/戦前から戦後の「名古屋美人」の盛衰からみる名古屋
(2)戦後の名古屋の毀誉褒貶
1950年代:戦災復興で変わる青年都市/1960年代:戦災復興の概成と工業都市の成長へ/1970年代:不況時の名古屋モンロー主義再評価/1980年代:名古屋バッシングと遷都案・デザイン博の効果
(3)平成の名古屋大変身
1990年代:おしゃれな街へ変身から三大プロジェクトへ/2000年代以降:気になる都市から無視できない都市へ 名古屋の消費動向に注目/名古屋のポジション気になる都市から無視できない都市へ
(4)名古屋は歌に唄われない都市
カラオケの歴史/レーザーカラオケの楽曲と背景映像の関係性/なぜ歌われないのか?なぜヒットしないのか?
3 名古屋のイメージと魅力の創出
(1)いくつかの都市の特性
札幌・福岡/仙台・広島/川崎・北九州/横浜・神戸
(2)名古屋のイメージを形成する二面性
都会性と田舎性/生産(なりわい)と消費(暮らし)/自己完結性と国際競争性/三大都市の三男坊と地方大都市の長男坊
(3)名古屋のイメージ転換に向けて 物語が生まれるまちを
生産都市から消費都市へ/生産の見せ方にカッコよさを演出/情報発信の多様性/己を知る
第2章 名古屋の都市発展史 5つのエポック
1 名古屋の都市前史
(1)名古屋の太古は湖の中、古墳時代は半分海の中
東海湖と名古屋/海進と隆起と堆積と/古墳時代
(2)中世の名古屋―清州城と那古野城
清洲城と那古野城の歴史概略/清洲城/那古野城
2 第一のエポック 清洲越と築城に伴う技術定着
(1)那古野移転の経緯
(2)名古屋築城と清洲越
(3)職人技術の定着と展開
3 第二のエポック 七代尾張藩主徳川宗春によるものづくりと芸どころの礎固め
(1)七代尾張藩主徳川宗春の政策
(2)ものづくり名古屋と芸どころ名古屋の礎づくり
(3)宗春の政策評価
4 第三のエポック 専売特許とベンチャー
(1)若者による起業化と実務家による起業化
若者の起業/名古屋で起業した実業家/地元と外来のせめぎ合い
(2)いくつかの企業展開
豊田家の人々─糸から自動車へ/森村グループ―森村・大倉家の人々─近代窯業発祥の名古屋
5 第四のエポック 軍需都市と加工組立産業
(1)軍需産業と航空機工業の集積
(2)熱田兵器製造所と新堀川と鶴舞公園
6 第五のエポック イベントによる地域発展
(1)国と地方のイベント
内国勧業博覧会の開催/関西府県連合共進会の開催
(2)名古屋におけるイベントの展開
第10回関西府県連合共進会(1910年)/御大典奉祝名古屋博覧会と名古屋土地博覧会(1928年)/名古屋汎太平洋平和博覧会(1937年)/世界デザイン博覧会(1989年)/2005 年日本国際博覧会(愛・地球博)とデ・ラ・ファンタジア(2005 年)
(3)博覧会都市 名古屋
7 名古屋発展の5つのエポックとこれから
(1)名古屋発展の5つのエポック
(2)次なる発展のエポックはなにか
「まちものづくり圏域」とクリエイティブクラス/人材の育成とスタートアップ/交流を促す観光の推進
第3章 都市計画の母と父─区画整理とその推進者
1 区画整理とは何か
(1)区画整理手法とは
(2)区画整理の歴史
農業生産を高める耕地整理/耕地整理準用による宅地供給のための土地区画整理/罹災復興のために土地区画整理/戦後高度経済成長に向けた土地区画整理
(3)全国における土地区画整理事業の実績
2 笹原辰太郎と区画整理─耕地整理を都市開発に適用した男─
(1)笹原辰太郎の生い立ち
公務員としての人生前半/民間人として事業推進
(2)都市経営の視点を取り込んだ東郊耕地整理事業
東郊耕地整理事業の内容/都市経営的視点の導入
(3)八事耕地整理事業を契機とした東部丘陵地開発
八事耕地整理事業と「山林都市」/八事耕地整理から東部丘陵地開発へ
(4)笠原辰太郎の功績
3 石川栄耀と区画整理 ―郊外地の基盤整備手法としての区画整理の普及―
(1)石川栄耀の生い立ち
都市計画技師になるまで/名古屋へ赴任/海外視察とレイモンド・アンウィンとの邂逅/名古屋時代から東京時代へ
(2)名古屋での区画整理の展開
「都市計画は区画整理」の名古屋での実践/名古屋での区画整理の発展要因
(3)石川栄耀がかかわった区画整理地区の特徴
田代地区の場合/豊田地区の場合/西志賀地区の場合
(4)石川栄耀の功績
都市計画の泰斗アンウィンによる生活者中心の教え/アーバンデザインと“経営主義”/都市を成立させる市民の心/都市学の樹立/名古屋から区画整理の情報発信/笹原辰太郎と石川栄耀
4 田淵寿郎と区画整理―戦後の都市基盤をつくった戦災復興区画整理―
(1)田淵寿郎の生い立ち
船乗り希望からと土木技師へ/土木技師としての活動/名古屋とのかかわり
(2)戦災復興事業の取り組み
名古屋の罹災状況/戦災復興の「田淵構想」/復興計画の基本
(3)いくつかの特徴ある復興事業
建物疎開とバラック建設/小学校と小公園/ドッジラインと復興事業の縮小
(4)戦災復興の二大事業
二本の百m道路の整備/墓地の集約移転
(5)田淵寿郎の功績
都市基盤整備による戦後名古屋発展の礎を形成/強力なリーダーシップの下での関係団体と市民と行政による連携/長期事業を完遂させる人材育成
5 戦後の郊外区画整理
(1)新法土地区画整理事業の展開
(2)地下鉄延伸物語
(3)都市経営と区画整理─藤森東部区画整理組合─
都市経営的な事業推進/柴田正司のリーダーシップと都市経営
(4)特筆されるべきいくつかの事業
名古屋東部丘陵地域の開発を先導する猪高西山地区/広大な規模の猪子石地区/多くの区画整理組合がかかわって整備された名古屋環状2号線
6 “区画整理のまち名古屋”の将来
(1)リーダーとまちづくり群像
(2)これからのまちづくり
第4章 都市魅力と“消毒”都市 ─名古屋都心の路地空間の生成と消滅─
1 はじめに
(1)路地空間の評価点
(2)名古屋都心空間の魅力向上の視点
(3)横丁や路地はどう違う─用語の定義
2 名古屋の都市構造と街区構造─名古屋・大坂・江戸比較─
(1)名古屋の都市構造と街区構造
(2)名古屋の会所(閑所)と中道
(3)大坂と江戸と名古屋の町人地構造比較
大坂城下町/江戸城下町/大坂・江戸と比較した名古屋町人地の6つの特徴
3 戦前の路地分布
(1)実態調査の方法と路地のタイプ分け
時代の実態を読み取る地図の活用(調査の方法)/路地のタイプ分け
(2)戦前の路地の分布実態(1929年・1933年)
全体概括1(数量的傾向)/全体概括2(分布的傾向)
(3)路地形成と敷地条件
タイプA(路地が多い街区群)/タイプB(中道のある街区等)/タイプC(路地のない街区群)/タイプD(非碁盤割で寺町の街区)
4 戦災復興事業とにぎわい都市空間の創出
(1)戦災復興事業の功罪
戦災復興事業前後の名古屋都心/近世の消毒と近代の構築─
(2)大須の多様性と栄の集積性
大須地区の多様性を担保する都市基盤(街路を中心として)/都心栄地区と大須地区との容積比較
5 戦後の路地分布の変遷(1955年・1975年・1996年)
(1)戦後の路地の変遷
戦前からの戦後にかけての路地の変化/戦後の数量的変化とタイプ別変化/路地と人口密度との関係
(2)戦後のエリア別の路地数・住戸等数の推移
碁盤割エリア/白川・大須エリア/白川エリア/大須エリア
6 現存の路地空間の生成
(1)栄地区の路地空間分布
(2)大須地区の路地空間分布
7 まとめ
(1)江戸時代の路地空間
(2)明治から戦前までの路地空間
(3)戦後の復興土地区画整理事業
(4)戦後の路地の生成と消滅
【追補】“都市の消毒”とは
第5章 “消毒”された都市空間の魅力創出にむけて
1 路地(横丁)や通路(パサージュ)の事例分析
(1)国内の魅力空間の事例
路地空間 新宿ゴールデン街と法善寺横丁/ビル内通路空間 「さっぽろ創世スクエア」と「ラシック名古屋」と名駅地下等
(2)海外の事例(パサージュ)
パサージュの歴史/プラハにおけるパサージュ・ネットワークの事例/ライプチヒ・ウィーン・ミュンヘンの中心市街地におけるパサージュ
2 都市魅力を創出するための先人たちの提案
(1)多様性を生み出す4つの条件─ジェイン・ジェイコブス
(2)クリエイティブ・クラスを惹きつける場所の質─リチャード・フロリダ
(3)ウォーカブルな都心づくり─ジェフ・スペック
3 都市魅力の創出に向けて
(1)公共空間の活用
オープンカフェ等道路占用 日本編/オープンカフェ等道路占用 海外編/ホコ天等道路使用/道路等緑化の推進
(2)街区内通路・広場のネットワーク
街区貫通型屋外通路モデル/屋外ネットワーク通路モデル/ビル貫通型屋内通路モデル/ビル内外ネットワーク通路モデル
(3)都心空間の魅力づけのための対処方法
基本的考え方 通路環境の多様性/これまでの路地空間の変容/新しい都心魅力にむけての二つの視点/具体的展開に向けて-エコ路地の実現
第6章 名古屋の二都物語
1 ごった煮にぎわい「大須商店街」と名駅奥座敷「円頓寺商店街」界隈
(1)大須商店街
江戸時代の大須/明治から戦前までの大須/大須の戦後と衰退/衰退からの巻き返し/国際色豊かな食の街/SDG‘sの先取りとなるリレーユース/パレードとアーケード/元気な大須商店街の要因を探る/大須商店街は飽きない空間
(2)円頓寺商店街(円頓寺本町商店街を含む)
江戸時代の円頓寺界隈-門前町による店舗集積/明治から戦前までの円頓寺-工場立地と鉄道整備による店舗集積/戦前における商店の組織化と一大歓楽街の形成/昭和年代の復興と衰退/再生商店街のモデルに/線から面への展開/二つの推進者 ナゴノダナバンクと不動産工房/円頓寺商店街界隈は連続的歴史空間
(3)商店街二都物語を読み解く
衰退の背景の共通性 交通条件と集積立地/地域特性を踏まえた展開の相違点 多様性と歴史性/衰退脱却のための人材育成 世代交代の若手と外部連繋
2 名古屋シンボルの久屋大通と生活ギャラリーの若宮大通
(1)名古屋のシンボル 久屋大通
久屋大通の四つのエポック/民間地域団体の提案/シンボルロード
(2)生活ギャラリー 若宮大通
若宮大通総合整備事業/その後の若宮大通公園/若宮大通沿線の特徴的な土地利用
(3)百m道路 二都物語を読み解く
シンボル的な非日常空間 久屋大通/未完の日常空間 若宮大通/逆T字の未来
3 “文化のみち”と“ものづくり文化の道”
(1)変貌と遂げる“文化のみち”
時代の変遷/“文化のみち”の物語/“文化のみち”の整備/町並み保存地区の指定と町並みの変貌/コモンズの悲劇とまちづくり憲章
(2)名古屋のものづくり源流“ものづくり文化の道”
“ものづくり文化の道”とは/地域資源の宝庫1 職人の技と産業/地域資源の宝庫2 拠点となる産業観光施設/地域資源の宝庫3 物語のある街並みや商店街/トヨタ産業技術記念館とノリタケの森の共通点
(3)二つの“文化のミチ”を読み解く
通底するふたつの“ミチ”/名古屋の発展を牽引してきた轍
おわりに