戦国史の主役は大名・武将と相場が決まっているが、信長対本願寺の戦いにおいてのみ、無名の百姓の一揆が一方の主役に躍り出る。統治する側でなく、統治される側を主役とする歴史叙述を、私たちはどうやって獲得してきたのか。治者目線で書かれた「軍記」という「物語」の作者の主張を丁寧に腑分けすることにより、そこに隠された意図を読み解き、物言えぬ者たちの実像をあぶりだす。
【目次】
はじめに―「石山」呼称問題
第一章 軍記の治者目線
第二章 同時代の軍記に描かれた「本願寺」と「一揆」
第三章 『甫庵信長記』と元和・寛永期の軍記
第四章 寛文・延宝期の読み物的軍記
第五章 元禄期の軍記と宗門書の交錯
第六章 法座の文芸
第七章 「庶民の石山」の系譜
第八章 明治十年代の爆発的流行
第九章 「知識人の大坂」
第十章 近代の知識人たち
第十一章 「石山合戦」の「常識」化
第十二章 「石山合戦」という術語