宮尾登美子 遅咲きの人生
著:大島 信三
内容紹介
『鬼龍院花子の生涯』『陽暉楼』『櫂』『寒椿』などで一世を風靡した直木賞作家の波乱の生涯を描いた本格的評伝。
二回のロングインタビューを中心に、本人の日記、手記などを徹底取材。魅力的な人間像が浮かび上がってくる。彼女がまるごと生きた「昭和」の時代を、さまざまなエピソードを交えて描く。
目次
第一章 土佐の花街
複雑系の家庭/家業への思い/喜世の溺愛/養母の乳房を求める夜/そっと見守っていた生母
第二章 思春期の陰影
得月楼で遊ぶ/仕込みっ子たちと両親の離婚/継母の連れ子にイジワル/父親に内緒で女子大に願書/歳月経てもプライド高く
第三章 仁淀川の清流
女学生の身で娼妓を引き連れる/残っていたハンサム教員/ブリの皮/なぜ満州を目指したのか
第四章 満州の月
水に泣く/学校に届いた青酸カリ/一個のまんじゅう欲しさに/収容所の不思議/佐世保の婦人相談所
第五章 農家の嫁
死の病を宣告されて/立場が逆転した母と子/日記に救われる/手ぬぐいかぶって行商/農婦から保母へ/喜世と猛吾の死
第六章 火宅の人々
フランス文学に傾倒/中学生が見た登美子像/されど離婚もできず/社会党に入党/火宅の仮面夫婦/作家の夢を優先
第七章 快晴のち豪雨
女流新人賞選考の裏側/話題の人に/夢にまで見た大金/ドメスティック・ヴァイオレンス/百円硬貨を握りしめて/乞食小屋同然の家で
第八章 運命の扉
ジープの騎士/連載と恋愛の同時進行/うしろめたさも/またしても嫁のつとめ/始まった暴走/悪夢の昭和四十年/破産/敗退
第九章 都の落人
一宿一飯の愚痴/浮世の風/猛吾の日誌に衝撃/ボツになった自信作/マッカーサーのビルで/家具を買える喜び/林芙美子の生き方に共感
第十章 多摩川の遅桜
凝りに凝った自費出版/太宰治賞発表の日/伝説となったロングスピーチ/幸運を呼ぶ電話/二人三脚の逆転満塁ホームラン