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PP選書

重度精神障害を生きる

精神病とは何だったのか 僕のケースで考える

著:髙見元博

紙版

内容紹介

あたりまえに生きるために闘う! 
障害者の研ぎ澄まされた感性が、擬制に覆われた健常者の常識世界の壁を打ち砕く。カール・マルクスの古典的名著を繙きつつ、現実社会の実相を抉り出し、来たるべき社会の有り様を眺望する。
重度精神障害者による障害者自身のための自己解放論。

目次

はじめに

第一章 精神病とは何なのか、僕のケースで考える
統合失調症の薬と抗うつ剤が効く人/高校生の頃の時代情況――造反の時代/自由への渇望/『気ちがいピエロ』/映画『明日に向かって撃て』の衝撃/無期限全学バリケードストライキ/べ平連とアンガージュマン(参加)の思想/反戦青年委員会と党派の指導部/僕が勤めた郵便配達と労働組合/バイク振動病とうつ状態とのダブルパンチ/郵政当局の「生産性向上」運動/長期病気休職に追い込まれて/障害者差別の現実/解雇撤回闘争/「全国『精神病』者集団」との出会い/地裁から最高裁に至る裁判闘争/「重度精神障害者」の人権裁判/「能力に応じて働き必要に応じて受け取る」原理の実現に向けて/「見えているのに知りたくないから見ようとしない」

第二章 障害者はなぜ差別されるのか
劣った者とされる障害者/危険な者とされる障害者/虐待と虐殺の対象としての障害者/神出病院事件

第三章 差別の構造・資本主義社会と障害者差別
日本の資本主義的発展と障害者/障害者雇用促進法の矛盾/障害者作業所運動と労働運動の関係

第四章 重層的差別の構造
意志なきものとされている障害者/マルクス主義から障害者を遠ざける差別用語/「格差社会論」の罠―階級社会の真実/日本の貧困の実態

第五章 マルクスの反差別解放理論
マルクス主義の伝説と労働者解放の思想/日本プロレタリア革命の前提条件――朝鮮・中国・沖縄・被差別民衆の解放/マルクスのプロレタリア革命実現論/一〇年後のマルクスのイギリス労働組合観/マルクスにおける階級形成論/アイルランド独立闘争の高揚/一九七〇年「七・七自己批判」とマルクスの思想

第六章 マルクス主義的な障害者解放原理
文献としての『左翼エス・エル戦闘史』、あるいはロシア革命正史/勝者の歴史/ロシア一〇月革命/残念な事実と希望のもてる事実/一九一七年の世界革命情勢・ドイツ革命の敗北/ドイツ一九一九年革命敗北の総括/書籍『ベルリン一九一九赤い水兵』/資本主義社会の解剖学――疎外・物象化がなぜ生じるのか――カール・マルクス『資本論』の世界観

第七章 障害者解放運動と労働者解放運動
障害者解放運動と労働者解放運動をどう結ぶか/マルクスの「労働」観/共同体社会の解体/マルクス主義と精神障害者がめざすものとその実現論/左翼におけるプロレタリアート概念の混乱と障害者、精神障害者/日本左翼の混乱/非正規労働者と「相対的過剰人口」/非正規労働者・障害者からの叛乱/障害者解放とはなにかという問題に立ち返る

終章 批判的・実践的なマルクス主義を梃子とした障害者解放を
人は変わることができる/資本主義と社会保障/社会保障の破綻点/「木村英子さんとおしゃべり会」の教訓/個人的な総括/全体的な総括

あとがき

著者略歴

著:髙見元博
1951年生まれ。1960年代高校造叛学園闘争を闘う。甲南大学卒。反戦青年委員会(ベトナム戦争に反対するため「総評」が作った青年労働者の大衆組織)に加入。大学生協職員などを経て1977年郵政省職員。全逓信労働組合に加盟し、1978年年賀状配達を止めた越年順法闘争を闘い1979年より支部青年部副部長(分会青年部長)を2期務める。1991年職業病である頚肩腕症候群を原因とする精神障害により免職。解雇撤回を争い1999年神戸地裁で解雇取消しの勝訴、2000年大阪高裁で逆転敗訴、同年最高裁で敗訴確定。1994年兵庫県精神障害者連絡会結成に加わり、現在代表を務める。1995年まで「全国『精神病』者集団」の執行委員である「事務局員」を勤めた。
共著書として、『生きている!殺すな!』(山吹書店)。
ブログ『マルクス主義2.0(アップデート)』。『季刊 精神医療』(「精神医療」編集委員会)に執筆。

ISBN:9784826507394
出版社:批評社
判型:4-6
ページ数:224ページ
定価:1800円(本体)
発行年月日:2023年02月
発売日:2023年02月15日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JKS