生態人類学は挑む MONOGRAPH 10
アンチ・ドムス
熱帯雨林のマルチスピーシーズ歴史生態学
著:安岡 宏和
内容紹介
私たちは飼い慣らし、飼い慣らされて生きている——そのドムスから逃れよ!と、彼らは誘いかける。人間と動植物が集住する空間・ドムス(domus)から逃れつづける狩猟採集民。一つの食物に依存せず、一つの生業の固執せず、多種多様な生物たちとかかわりあいながら、森と〈共生成〉しつづける。その〈生き方〉が文化と自然の境界を融かしていく。コンゴ盆地・カメルーンの森でバカ・ピグミーとともにくらしながら、彼らの〈生き方〉と森の〈歴史〉を記述した。シリーズ『生態人類学は挑む』最終巻。
目次
まえがき
序 章
1 生態人類学のフィールドワーク
2 マルチスピーシーズ歴史生態学
3 狩猟採集民をめぐる二つの問い
第1章 狩猟採集民研究のパラダイム
1 狩猟採集民の真正性への疑義
2 ワイルドヤム・クエスチョン
3 ピグミーの生態をめぐる論点
第2章 モロンゴ―森の狩猟採集生活
1 フィールドの人々と自然環境
2 ゆたかな狩猟採集生活の実相
3 食生活をささえるヤマノイモ
第3章 一年型ヤマノイモの集中分布
1 過去のモロンゴ逗留地の分布
2 ヤマノイモの生育環境と分布
3 モロンゴ逗留地の植生の特徴
第4章 ヤマノイモ分布の歴史生態学
1 ヤマノイモの分布と人間活動
2 芋片から再生するヤマノイモ
3 ヤマノイモ分布の歴史的構築
第5章 生業の農耕化か、多様化か?
1 農作物を栽培する狩猟採集民
2 多種多様な生物たちとの連関
3 半栽培の視座と諸生業の布置
第6章 アンチ・ドムスの〈生き方〉
1 異種生物の共生関係の捉え方
2 〈ドムス化〉の双主体モデル
3 連関を組みかえる〈生き方〉
終 章
1 狩猟採集民の真正性をこえて
2 双主体モデルの構想と拡張性
3 保護区を組み直す〈生き方〉
付録
あとがき
文献
索引
ISBN:9784814005079
。出版社:京都大学学術出版会
。判型:A5
。ページ数:474ページ
。定価:3200円(本体)
。発行年月日:2024年02月
。発売日:2024年02月22日
。国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JBCC。