プリミエ・コレクション 118
もう一つの19世紀ドイツ哲学史
ポストカントにおける哲学方法論の系譜
著:太田 匡洋
内容紹介
かつて思想界をリードしたドイツ哲学で、「ドイツ観念論」を正統な後継者とする理解は、今日見直しを迫られている。フリース・ショーペンハウアーらが示したカント後における「もう一つの」(ハーバーマス)哲学史の系譜を明らかにする。
目次
はじめに なぜ19世紀ドイツ哲学史が問い直されなければならないのか
序 論 なぜフリースの思想の再構成から始める必要があるのか
第1章 批判主義の徹底化による哲学方法論の主題化
――J F フリースの哲学
1.哲学方法論の成立
1.1.「理性批判」の方法
1.2.ドイツ観念論との対決フィヒテ批判からシェリング批判へ
2.諸概念の発展と形而上学体系の樹立
2.1.認識の様式の区分の成立と哲学の対象の拡張「真理感情」との関わりからみて
2.2.「物自体」概念の位置づけ
第2章 批判主義による哲学方法論に立脚した意志形而上学の展開
――ショーペンハウアー哲学の再読
1.哲学方法論の展開と「形而上学」の成立
1.1.哲学の問いの変遷
1.2.哲学方法論の照明フリースの読書経験を通じた「抽象」への着目
1.3.哲学方法論の展開「意志の客体性(Objektität)」の概念に着目して
1.4.意志形而上学の成立「主観客観関係」の限界と物自体の導入
2.倫理思想における方法論的視座
2.1.「泣く」という現象の位置づけ
2.2.共苦と想像力
第3章 批判主義による哲学方法論の継承と発展
――フリース学派と新フリース学派の成立と展開
1.アーペルトによる「フリース学派」の成立と展開
1.1.エルンスト・フリードリヒ・アーペルトによる「フリース学派」の登場
1.2.アーペルトのフリース受容
1.3.フリース学派の科学思想マティアス・ヤーコプ・シュライデンの方法論的視座
2.レオナルト・ネルゾンによる「新フリース学派」の登場
2.1.ネルゾンによるフリースの再発見と「新フリース学派」の勃興
2.2.ネルゾンによるフリース受容
2.3.新フリース学派と新カント派の攻防
2.4.「ソクラテス的方法」と分析哲学の潮流
3.まとめ
結語に代えて
1.「世界の奥行き」から振り返って
2.本書の成果と展望
目次(細目)
文献表
あとがき
英文要約
索引(人名/事項)