・向日葵 ………
呑気な妻と心配性の夫。対照的な夫婦は、50年一緒にいてもわからないところが多い。定年後退屈な毎日を過ごす雅彦は、「毎日が楽しくない」と考えているが、前向きな妻の背中を見て、次第に……。
・初雪葛………
由利子は麻痺が残る夫の介護の毎日に、心が折れそうになっていた。ある時、夫亡きあと弁当屋をはじめることになった友人との付きあいで、心境に変化が生まれる。
・小手毬………
暴力を振るう父とそれが原因で病気になった弟。煙草の不始末で生家は全焼し、家族の思いをつなぐものは全て灰になった。家族の思い出が詰まった「ゆすら梅」を見て由子は……。
・桔梗………
祖母に育てられ、父母に溝があった修平。妻の介護のため生家に戻ることになる。多くのことを忘れていく妻と過ごしていくうちに、心境の変化が。これまでは誰かの世話をする人生だったが、自分には別の生き方があったのではないか。自分がいま幸せなのか、不幸せなのか。くり返し考えるうちに、修平が見つけた答えとは。
・フェイジョア………
定年後、体力が衰え、日々できぬことが増えていく日々を迎える光夫。思い切って始めたバンド活動は、仲間を得、少しずつ広がっていく。若いときに叶わなかった夢ともう一度向き合っていく。
・ビックリグミ………
夫を亡くし、子供たちは巣立ち、一人暮らしの寂しさが心にいつもつきまとっている都子。自由で活発な友人翠の姿を通じて、都子の言動も変わっていく。
・馬酔木………
厳格な父にずっと恐れと嫌悪感をいだいてきた冬三。ふと鏡を見ると、晩年の父がこちらを見ていて、驚く。父から受け継いだ性格。母、祖母との似た面。永々と続く血脈の連鎖。若い時に確固として抱いていた思いに、変化が生まれる。
・千両………
水道業を営む三郎は、小さな仕事も嫌な顔もせず引き受ける。ある時近所の仲の良い知りあいが亡くなり、誰に看取られることもなく一人亡くなったことを知る。人はやがて消え、その生きる痕跡もなくなっていく。三郎が自分の人生を振り返って得た思いとは……。