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インスタグラムと現代視覚文化論

レフ・マノヴィッチのカルチュラル・アナリティクスをめぐって

著:レフ・マノヴィッチ
編:久保田晃弘
編:きりとりめでる

紙版

内容紹介

デジタル写真、メディア研究の新たな指標となる、"越"写真論集が誕生!

現代の文化において大きな影響力を持ちつつも、これまでは写真論の対象として語られてこなかったインスタグラム。『ニューメディアの言語』を著し話題を呼んだメディア理論家のレフ・マノヴィッチは、2012年から2015年にかけてインスタグラムにアップロードされた約1500万枚もの画像をデータ分析にかけることで、新しい写真論を築き上げました。

本書には、その論考「インスタグラムと現代イメージ」の全訳だけでなく、従来の写真論・デジタルメディア論・データサイエンスからマノヴィッチの論考を検討&拡張させる、合計9つのテキストを収録しました。写真と文化の拡がりをまたとなく学べる一冊です!

※左右両開きのブックデザインにも注目です!

目次

(1)巻頭言|きりとりめでる・久保田晃弘

(2)収録論考「インスタグラムと現代イメージ」|著=レフ・マノヴィッチ、共訳=きりとりめでる・久保田晃弘

序文
カルチュラル・アナリティクス・ラボが収集し分析したインスタグラムデータ
2010年から2015年に著者が訪れた都市
はじめに:メディウムとしてのインスタグラムのプラットフォーム
「写真」は存在するか?
イズムなき理論
プラットフォーム時代における視覚文化分析の方法論
第1章:カジュアル写真
写真における「インスタント」革命
写真における「ホームモード」
美学の重要性
3種類の写真:カジュアル、プロフェッショナル、デザイン
カジュアル写真
第2章:プロフェッショナル写真とデザイン写真
プロフェッショナル写真と「良い写真」のルール
プロフェッショナル写真の主題とジャンルのヒエラルキー
カジュアル写真の主題
デザイン写真
写真におけるリアリティの効果
第3章:インスタグラミズム
スタイルとは何か?
「物ストーリーテリング語る」ことの拒否:アート・シネマとK-POPミュージックビデオ
インスタグラミズムと現代のカルチュラル・アイデンティティ
モダンデザインのメタ原則
デザイン写真における視覚・コンテンツ戦略
さまざまな文脈:アーヴィング・ペン、マーティン・ムンカッチ、『ヴォーグ』、
 『ハーパーズ・バザー』、そしてグローバル・ミニマリズム
第4章 テーマ・フィード・シーケンス・ブランディング・フェイス・ボディー
美的社会
インスタグラムのクラス
インスタグラミズム vs.「普通の」写真
顔と身体インスタグラムのテーマ
写真のシーケンスデザイン
インスタグラミズムを学ぶ
私たちはインスタグラムの投稿者を「解放」する必要があるのか?
アプロプリエイション、サブカルチャー、集団、主流?
付録
iPhoneのモデル:リリース日、ディスプレイの解像度、カメラの解像度
インスタグラム年表:アプリの公開と新しい機能、新しいフィルター、商業化
アメリカ以外でインスタグラムを使用するユーザーの割合(2013~2016年)
2017年2月における instagram.com へのトラフィックの国別分布
2013年1月から2017年4月の月毎のインスタグラムのアクティブユーザー数
図版


(3)日本の執筆陣による9つのテキスト

1.インスタグラミズムとレフ・マノヴィッチ
レフ・マノヴィッチとインスタグラム美学|甲斐義明
なぜインスタグラムだったのか —— 最後尾のメディア受容記述者としてのレフ・マノヴィッチ|きりとりめでる

observasion:インスタグラムと日本
日本のインスタグラム観測記録:2010 → 2018|ばるぼら

2.デジタル写真の今/諸相
デジタル写真の現在 —— 三つの層から考える|前川修
接続する写真 —— 記憶、自撮り、身振り|増田展大
Photoshop 以降の写真作品 —— 「写真装置」のソフトウェアについて|永田康祐

scene:データビジュアライゼーションの現場から
コードを書き、可視化する|芝尾幸一郎

3.文化はどこへ行くのか?
写真の理解可能性 —— 計量社会学とインスタグラム|筒井淳也
カルチュラル・アナリティクスの過去・現在・未来|久保田晃弘

著者略歴

著:レフ・マノヴィッチ
レフ・マノヴィッチ| Lev Manovich
1960 年モスクワ生まれ。国際的なデジタル文化の主導的な理論家であり、データ・サイエンスの方法による現代文化分析のパイオニア。今回訳出した「インスタグラムと現代イメージ」以外に、すでに12 冊に渡る著書があり、「マーシャル・マクルーハン以来、最も示唆的で広範なメディアの歴史」と評された『 e Language of New Media』(MIT Press、2001 年)は、2013 年に『ニューメディアの言語 — デジタル時代のアート、デザイン、映画』というタイトルで翻訳が出版されている(堀潤之訳、みすず書房)。「ヨコハマ国際映像祭2009」でのフォーラム「ハイブリッド・メディアとは何か?─ソフトウェア時代の映像表現」に参加。2013 年には「デザインの未来を形作る25 人の重要人物」に、2014年には「未来を築く50 人の最も興味深い人物」に選出されている。現在、ニューヨーク市立大学大学院センターのコンピュータサイエンスの教授であり、計算的な手法による視覚文化分析を開拓した「カルチュラル・アナリティクス・ラボ」のディレクター。
編:久保田晃弘
久保田晃弘| Akihiro Kubota
1960 年大阪生まれ。多摩美術大学美術学部情報デザイン学科メディア芸術コース教授。世界初の芸術衛星と深宇宙彫刻の打ち上げに成功した衛星芸術プロジェクトARTSAT をはじめ、自然知能と芸術の数学的構造、ライヴ・コーディングによるライヴ・パフォーマンスなど、さまざまな領域を横断・結合するハイブリッドな創作の世界を開拓中。芸術衛星1 号機の《ARTSAT1:INVADER》でアルス・エレクトロニカ 2015 ハイブリッド・アート部門優秀賞をチーム受賞。《 ARTSATプロジェクト》の成果で、第66 回芸術選奨の文部科学大臣賞(メディア芸術部門)。SIAF(札幌国際芸術祭)2017 に、SIAF ラボと共同で《Space-Moere(宇宙モエレ)プロジェクト》で参加展示した。著書、監修監訳書多数。近著に『遙かなる他者のためのデザイン ̶ 久保田晃弘の思索と実装』(BNN 新社、2017 年)『メディアアート原論』(共編著、フィルムアート社、2018 年)がある。
編:きりとりめでる
きりとりめでる| Kiritorimederu
1989 年鹿児島生まれ。2012 年に鹿児島大学法文学部人文学科思想系を卒業し、営業事務やショップ店員となった後、2016 年に京都市立芸術大学大学院美術研究科芸術学を修了。美術館勤務、公益財団法人の学芸員を経て、現在は個人で活動。特に、視聴覚文化の変容と伴走する美術作品をデジタル写真論の視点から 、研究、展覧会企画を行なっている。2017 年に「渡邉朋也個展「 信頼と実績」」(artzone)。2016 年に「フィットネス. | nss.show」(akibatamabi21)、「移転プレ事業 Open Diagram」(元崇仁小学校)など企画。2017 年から美術系同人誌「パンのパン」を発行。

ISBN:9784802511018
出版社:ビー・エヌ・エヌ新社
判型:A5
ページ数:376ページ
定価:3500円(本体)
発行年月日:2018年06月
発売日:2018年06月26日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:UD