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マーガレット・アトウッド『侍女の物語』を読む

著:加藤めぐみ

紙版

内容紹介

奴らに虐げられるな
1985年に発表された近未来小説『侍女の物語』と、2019年の続編『誓願』。
男性優位の独裁国家を描く暗澹たるディストピア文学が、なぜ今日、フェミニスト・プロテスト文化の象徴として耳目を集めるのか。
女性の身体と連帯、歴史と記憶、声と語り、エコロジー、セクシュアリティ/ジェンダー、ケア……
現実世界の諸相を束ねて生み出された物語世界に、現在そして未来を生き抜くための希望を探る。

目次

序――2023年、『侍女の物語』のアクチュアリティを問う 加藤めぐみ

『侍女の物語』はフェミニスト・ディストピアか? マーガレット・アトウッド(西あゆみ訳)

Ⅰ ギレアデ共和国のリアル
ビッグ・シスターとシスターフッド――アトウッド『誓願』における「弱い」独裁者 奥畑豊
[付論]アメリカ・カナダの〈地下女性鉄道〉――逃亡の協力者と緩衝地帯マップ 安保夏絵
社会生物学者リンプキンの謀略――『侍女の物語』『誓願』におけるミツバチと生政治 加藤めぐみ
勇気をこめて振り返る――抵抗の記念碑としての『誓願』の石像たち 三村尚央
アトウッドのエコ・ディストピア――『侍女の物語』から『マッドアダム』まで 中村麻美
[コラム]性別二元論というディストピア――『侍女の物語』関連作品を読む 中村麻美

Ⅱ 女性の身体/連帯
ケアの目覚め――『侍女の物語』から『誓願』へ 小川公代
未来に託す身体のメッセージ――『フランケンシュタイン』、『侍女の物語』、『誓願』を繫ぐ声・身体・命 生駒夏美
「これまでに愛したのはあなただけ」――レズビアン・ロマンスとして読む『侍女の物語』と『誓願』 渡部桃子
フェミニストSFとしての『侍女の物語』 小谷真理
『ハンドメイズ・テイル/侍女の物語』においてセリーナ、モイラ、ジューンのマザーフッドと代理出産が問うこと 高村峰生
[コラム]ジューン/オブフレッドのレジスタンス 石倉綾乃
[付論]日本のフェミニストSF文学はなぜ、最初からディストピア的色彩が強かったのか シュテファン・ヴューラー

あとがき 中村麻美

著者略歴

著:加藤めぐみ
都留文科大学教授。イギリス文学・文化。著書に、『英国ミドルブラウ文化研究の挑戦』(共著、中央大学出版部、2018年)、『カズオ・イシグロと日本――幽霊から戦争責任まで』(共著、水声社、2020年)、『ジョージ・オーウェル『一九八四年』を読む――ディストピアからポスト・トゥルースまで』(共著、水声社、2021年)などがある。

ISBN:9784801006850
出版社:水声社
判型:4-6
ページ数:326ページ
定価:3500円(本体)
発行年月日:2023年12月
発売日:2023年12月12日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:FB