平安時代陰陽道史研究
著:山下 克明
内容紹介
陰陽道の日本的特質とはなにか?
その成立・展開期である平安時代を中心に、仏教・神祇信仰と並ぶ宗教としての陰陽道のあり方、陰陽師たちの天文観測技術や呪術・祭祀など活動の実態とその浸透、彼らの信仰などをさまざまな角度から明らかにする。
また、中国から伝来し陰陽道の背景となった諸典籍、その展開のなかで陰陽師たちが著し伝えた主な関連史料を、解説を付しながら幅広く紹介。
陰陽師が残した日記である『承久三年具注暦』の翻刻を収める。
目次
序 章 陰陽道の特質と関係典籍
陰陽師の機能/陰陽寮の職務と陰陽道の成立/陰陽道の宗教的性格/陰陽道の基本文献
第一部 陰陽道の成立とその展開
第一章 陰陽道の成立と儒教的理念の衰退
陰陽師の職務/陰陽道の成立と怪異/文章博士たちの分裂
第二章 陰陽道の宗教的特質
陰陽道祭祀の特質/陰陽師の性格
第三章 陰陽道信仰の諸相―中世初期の貴族官人・都市民・陰陽師―
貴族官人社会における陰陽道祭祀の浸透/都市民と陰陽師、大将軍信仰/陰陽師たちの信仰
第四章 密教修法と陰陽道
密教星宿法の成立/尊星王法の成立と園城寺/院政と密教修法
第五章 院政期の大将軍信仰と大将軍堂
摂関貴族と大将軍信仰/『東山往来』にみる大将軍信仰/大将軍信仰と大将軍堂
第二部 安倍晴明と天文家安倍氏
第一章 安倍晴明の邸宅とその伝領
晴明の邸宅に関する諸説/長承元年の晴明領地争論/晴明邸宅地の推定/泰親と土御門の地
第二章 安倍晴明の「土御門の家」と晴明伝承
陰陽師晴明の評価/晴明の「土御門の家」/「土御門の家」の継承者/もう一つの晴明伝承
第三章 天文道と天文家安倍氏
天文道の職掌/天文異変の基準「犯」と観測方法/天文家安倍氏の記録と家書/観測技能・精度の問題
第三部 陰陽道と文献史料
第一章 陰陽道関連史料の伝存状況
陰陽寮のテキストと滋岳川人の著作/日時・方角関係/五行説・占術関係/祭祀関係/暦道関係/天文道関係/日記・文書・系図/賀茂・安倍両氏が伝え、失った史料
第二章 『承久三年具注暦』の考察
諸本について/天理本の日次記について/付、『承久三年具注暦』日次記の翻刻
第三章 『大唐陰陽書』の考察―日本の伝本を中心として―
『大唐陰陽書』の伝来/暦注と『大唐陰陽書』/諸本とその伝来/延慶元年の中間朔旦冬至
第四章 宣明暦について―『高麗史』暦志と日本の伝本―
日本の伝本について/伝本の性格/伝本と暦家賀茂氏
付 論 平安時代初期の政治課題と漢籍―三伝・三史・『劉子』の利用―
大学寮と紀伝道の形成/平安初期の政治と漢籍の引用/嵯峨「藩邸の旧臣」と読書
あとがき
索引
ISBN:9784784217809
。出版社:思文閣出版
。判型:A5
。ページ数:450ページ
。定価:8500円(本体)
。発行年月日:2015年01月
。発売日:2015年02月20日
。国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:VXF。