第63回現代詩手帖賞受賞
丘をくだったら
もうかえらない、というしるしだ
だれも二度とかえってこなかった
わたしは海のみえるところまで
はしってきた
(「誕生日」)
「記憶のからだの奥底で疼く受難の痕を、/たかきびわの詩は覆い隠さない、/出発点としてやわらかく踏みしめ、走り出す。/強靭かつ無垢な力を宿して行は流れ、/言葉のからだは再生へ、さらにその先へ、行く。/この眩い痛みとひかりに、打たれろ。」 (川口晴美)
「空のバスタブに坐りこんでいた少女。存在を否定された少女は、自分が存在することの意味を手探りでつかみとろうとした。たかきびわの詩は、はかないようにみえて根強い。それは私たちの詩に新たな勇気を与えるだろう。」 (近藤洋太)
むずびめをほどき、全身でことばを生きる。
鮮烈な第1詩集!
装幀=佐々木陽介