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子どもは「教育」により「発達」するのか？

発達しようとする子どもと、教育しよう（発達させよう）とする親や教師――子どものダイナミックな変容は、様々な関係性のなかで、どのように生まれるのか。発達と教育がつながる様々なテーマから、そのダイナミズムに迫る。



●著者紹介
氏家達夫（うじいえたつお）　
名古屋大学大学院名誉教授
第1章

高濱裕子（たかはまゆうこ）　
お茶の水女子大学名誉教授
第2章

杉村伸一郎（すぎむらしんいちろう）　
広島大学大学院人間社会科学研究科教授
第3章

藤村宣之（ふじむらのぶゆき）　
東京大学大学院教育学研究科教授
第4章

下木戸隆司（しもきどたかし）　
鹿児島大学教育学部准教授
第5章

大谷和大（おおたにかずひろ）　
北海道大学大学院・教育学研究院准教授
第6章

岡田　涼（おかだりょう）　
香川大学教育学部准教授
第7章

島　義弘（しまよしひろ）　
鹿児島大学教育学部准教授
第8章

布施光代（ふせみつよ）　
明星大学教育学部教授
第9章

清河幸子（きよかわさちこ）　
東京大学大学院教育学研究科准教授
第10章

中山留美子（なかやまるみこ）　
武庫川女子大学教育総合研究所教授
第11章

杉村和美（すぎむらかずみ）　
広島大学大学院人間社会科学研究科教授
第12章

白井利明（しらいとしあき）　
大阪教育大学名誉教授
第13章

大坪治彦（おおつぼはるひこ）　
鹿児島大学名誉教授
第14章

西野泰代（にしのやすよ）　
広島修道大学健康科学部教授
第15章

伊藤大幸（いとうひろゆき）　
お茶の水女子大学基幹研究院准教授
第16章・第17章

第1部　ダイナミックな発達の起こる場
第1章　発達の仕組み（氏家達夫）
はじめに／ブラックボックス／ボール遊び、フットボール、そして自分はプレッシャーに弱い／複雑さの理由／発達と教育／非線形の現象としての発達／バタフライ効果／安定性と可変性／セカンド・サイバネティックス／枝分かれ、転機、選択／発達研究のパラダイムの危機／数学的モデルの必要性／非線形のイメージ／あなたの人生の物語／さいごに

第2章　発達のゆりかごとしての家庭教育（高濱裕子）
1 家庭教育とは何か？
2 家庭教育の歴史とその変遷
3 子どものしつけと子どもへの期待
4 養育者―子どもシステムとその発達
5 第一反抗期における親子システムの変容プロセス
6 日本の家庭教育をめぐる最近の問題
7 祖父母が親世代の育児に関与する意味
8 発達のゆりかごとしての家庭教育

第3章　学校教育と発達（杉村伸一郎）
1 はじめに
2 学校教育の入り口と出口
3 教育・発達・文化
4 おわりに

第4章　学習過程と発達（藤村宣之）
1 学習をめぐる3つの理論
2 子どもの発達から学習過程を構想する
3 学習と発達の関係を考える

第5章　第3の学びの場（下木戸隆司）
1 社会での学び
2 ミュージアムにおける学び
3 構造化されていない学び vs 構造化された学び
4 豊かな「社会での学び」に向けて

第2部　児童期の発達の姿
第6章　児童期の学習：学級の社会的環境と学習（大谷和大）
1 はじめに
2 児童期の発達
3 学級環境の研究
4 向社会的学級環境と学習成果
5 人間関係を介した学習の認知面への影響
6 向社会的環境と発達の相互作用
7 まとめ

第7章　児童期の社会的適応と対人関係（岡田　涼）
1 児童期の仲間関係
2 社会的適応の諸側面
3 社会的適応を支える
4 どこまで社会的適応を支えることができるのか
5 大人側の社会的適応

第8章　情動発達とパーソナリティ（島　義弘）
1 気質：パーソナリティと情動発達の基盤
2 情動の発達
3 情動と心理・社会的適応：パーソナリティ発達と情動の教育可能性

第9章　児童期の発達：システムとして児童期の発達を通してみる（布施光代）
1 児童期における発達の転換期としての9歳、10歳：「9歳の壁」「9歳の峠」
2 学校教育と児童期の発達

第3部　青年期の発達の姿
第10章　洞察問題解決（清河幸子）
1 はじめに
2 洞察問題解決とは？
3 洞察問題解決の特徴
4 洞察問題解決をとらえる2つの立場：Special process view とBusiness as usual view
5 言語化の影響
6 作業記憶の影響
7 制御的な処理の影響
8 2つの立場を統合する視点
9 おわりに

第11章　青年期の社会的適応と対人関係（中山留美子）
1 青年期の自己形成と社会的適応
2 自己形成過程における青年期の特徴
3 自己形成過程における青年の「戦略」
4 自己形成過程における青年の対人関係
5 青年の自己形成と社会的適応を支える

第12章　自律性とアイデンティティ（杉村和美）
1 はじめに
2 自律性とアイデンティティの発達理論
3 発達の多様な軌跡
4 親子システムの崩壊と共同調整の試み
5 対人関係の広がりと複数の関係システム
6 おわりに

第13章　成人形成期：現代日本における大人のなり方（白井利明）
1 はじめに
2 成人形成期と何か
3 成人形成期への批判
4 日本の成人形成期
5 社会と支援と教育の課題
6 結語

第4部　発達と教育にかかわる応用的課題
第14章　学力と知能、その評価（大坪治彦）
1 指導と評価の密接な関係
2 児童生徒のアセスメント
3 知能をどうとらえるか
4 学力をどうとらえるか
5 評価の分類

第15章　問題行動の発達と支援：いじめに対する子どもの脆弱性とそれを補う学級集団の力（西野泰代）
1 いじめについて考える際の視点
2 いじめの発生を予測する要因
3 いじめを抑止する学級集団の特徴
4 まとめと今後の課題

第16章　非定型の発達の理解と支援（伊藤大幸）
1 疫学的特徴
2 病因論
3 発達的経過
4 アセスメント
5 支援・介入
6 まとめ

第17章　脳と発達（伊藤大幸）
1 構造と機能
2 脳の発達
3 脳の発達異常

編：氏家　達夫
名古屋大学大学院名誉教授