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この世界をやり直すためのケアの可能性

社会に埋め込まれた暴力的な思考や制度に委ねるのとは別のやり方でケアを実行することは、どのようにして可能なのか。私たちの心配や係り合いが、世界を繕い直す営みの中に埋め込まれているような場所への想像力を開く。

 


●著者紹介

西真如
広島大学人間社会科学研究科。専門は文化人類学、グローバルヘルス。主

有井晴香
北海道教育大学教育学部。専門はアフリカ地域研究、文化人類学。

森明子
国立民族学博物館名誉教授。専門は文化人類学、ヨーロッパの民族誌研究。
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池見真由
札幌国際大学観光学部。開発経済学、国際協力論。

大北全俊
滋賀医科大学医学部。生命倫理学、倫理学、哲学。

加藤敦典
京都産業大学現代社会学部。文化人類学、ベトナム地域研究。

桑島薫
名城大学経営学部。文化人類学、ジェンダー研究。

坂井紀公子
金沢星稜大学人文学部国際文化学科。文化人類学、アフリカ地域研究。

佐藤奈穂
金城学院大学国際情報学部。経済学、カンボジア地域研究。

デ・アントーニ・アンドレア
京都大学大学院人間・環境学研究科。文化人類学、宗教学、日本とイタリア研究。

内藤直樹
徳島大学大学院社会産業理工学研究部。文化人類学、アフリカ地域研究。

中村沙絵
東京大学総合文化研究科。文化人類学、南アジア研究。

野村亜由美
東京都立人間健康科学研究科。医療人類学、看護学。

馬場淳
和光大学表現学部。文化人類学、地域研究（オセアニア、アフリカ）。

浜田明範
東京大学総合文化研究科。医療人類学、西アフリカ地域研究。

モハーチ　ゲルゲイ
大阪大学大学院人間科学研究科。医療人類学、科学技術社会論（STS）。

森口岳
東洋大学人間総合科学研究所。都市人類学、アフリカ地域研究。

　序章　心配と係り合いの人類学

第Ⅰ部　ケアを見出す

　第１章　縫い繕うケア

　第２章　義務を見出す
　　　　　　　マリア・プイグ・デ・ラ・ベラカーサとフローレンス・ナイチンゲール二つのケア論の照合

　第３章　環境に媒介されるケア
　　　　　　　感染症への対応における複数の統治の重なり合いについて

第Ⅱ部　別様のつながり

　第４章　ベトナムにおける高齢者のニッチ
　　　　　　　独居をめぐる離接のプロセス

　第５章　家族介護を模索する
　　　　　　　EUオーストリアの山地農家

　第６章　津波後のスリランカにおける復興の中のつながりの実践
　　　　　　　あるアーユルヴェーダ医師の老いと生

　【コラム】写真と汚れた制服
　　　　　　　　ケニア・メル社会における母娘物語

第Ⅲ部　ケアと暴力

　第７章　〈禁忌の子〉の排除と包摂
　　　　　　　エチオピア西南部における子殺しの慣習に抗するつながり

　第８章　生みの親でない者にケアされる子どもたち
　　　　　　　カンボジア　シェムリアップ州の農村を事例として

　第９章　切り離すケアの周りで
　　　　　　　日本のDV 被害者の一時保護現場

　第10章　ケアの空間としてのスラム、そしてそこからの逃走

第Ⅳ部　人間以上の世界の係り合い

　第11章　ランドスケープの生成をめぐる外密的な係り合い
　　　　　　　徳島県西部における世界農業遺産地域の山村での生を支えるもの

　第12章　「神様に守ってもらっている」絡まり合いの形成
　　　　　　　徳島県賢見神社のお祓いにおける生成、情動の技術と距離

　第13章　ウガンダ北部のうなづき症候群
　　　　　　　紛争後の環境におけるてんかん性脳症の流行

　第14章　廃墟を耕す
　　　　　　　どん底における植物と人間の係り合い

　【コラム】人間の排泄物を循環させるしくみ


　　索引〔人名／事項〕

編：西　真如
広島大学人間社会科学研究科。専門は文化人類学、グローバルヘルス。主な著作に、CuringLives : Surviving the HIV Epidemic in Ethiopia（Palgrave Macmillan, 2023）、『新型コロナウイルス感染症と人類学――パンデミックとともに考える』（共編著、水声社、2021年）など。

編：有井　晴香
北海道教育大学教育学部。専門はアフリカ地域研究、文化人類学。主な著作に『それでも、彼女は学校へ――エチオピア村落の教育とジェンダー』（風響社、2025 年）、“Gender Relationships
in Reproductive Health in Maale, Ethiopia : Decision-Making in Family Planning as Practice of Care”（Nilo-Ethiopian Studies, 28, 2023）など。

編：森 明子
国立民族学博物館名誉教授。専門は文化人類学、ヨーロッパの民族誌研究。おもな著作に『土地を読みかえる家族――オーストリア・ケルンテンの歴史民族誌』（新曜社、1999 年）、『ケアが生まれる場――他者とともに生きる社会のために』（編著、ナカニシヤ
出版、2019 年）、『寄食という生き方――埒外の政治‐経済の人類学』（共編、昭和堂、2025 年）、Family Potential in Uncertain Times : Mobility, Technology, and Body（Coeditor,
National Museum of Ethnology, 2025）など。