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國分功一郎氏　推薦

「ラカンを触媒として現れたおそるべき思考＝記述機械！
精密機器のようにして描き出されたラカン派精神分析の像から
読者は新しい思想的光景の予感を得るであろう。」

 

ラカンの講義で参照された文献とその思想史的背景を開示しながら、セミネールを内在的に読解。
各人の個体的特異性を尊重し、安易な快楽に身を預けるのではなく、自己自身に固有な「欲望」を問い続け、それに葛藤とともに向き合い、引き受けるラカンの「欲望の倫理学」を明示する。
 

●著者紹介
桑原旅人（くわはら たびと）
2023年、東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了、博士（学術）。千葉大学、法政大学、洗足学園音楽大学、帝京科学大学で非常勤講師。

主要業績
「「大他者における欠如のシニフィアン」と「対象a」─ジャック・ラカンによる『ハムレット』註釈の理論的意義」（『フランス哲学・思想研究』第22号、2017年）、「欺かれない者たちの生─ジャック・ラカンとモーリス・ブランショの思索的共鳴」（『フランス哲学・思想研究』、第25号、2020年）、「萩原朔太郎『猫町』における「形而上の実在世界」─ジル・ドゥルーズの「超越論的経験論」との比較から」（『表象』、第16号、2022年）。

凡　　例

序　　論
その生涯と人物

第一章　精神分析とはどのような仕事なのか
　第一節　退歩と特異性
　第二節　ラカンが道標とした哲学者たち──ハイデガー、アウグスティヌス、プラトン
　第三節　主体の個別的運命としての症状──現実界の象徴的な切り抜き

第二章　基本的概念の整理──〈父の名〉、ファルス、欲望、欲動、アガルマ
　第一節　〈父の名〉とファルス
　第二節　男女における発達過程の相違と異性愛における不調和の問題
　第三節　なぜ欲望は願ったとおりには叶わないのか──欲求、要求、欲望の区別
　第四節　「すべてが言語活動に還元できるわけではない」

第三章　ハムレットによる「対象a」としてのオフィーリアの再発見
　第一節　「大他者の欠如」と「対象a」
　第二節　母なる大他者における欠如の否認と欲望の消滅
　第三節　貪欲な〈母〉からの退却
　第四節　「対象a」としてのオフィーリア
　第五節　「ファルス」から「対象a」へ

第四章　〈もの〉と現実界
　第一節　症状への固着
　第二節　〈もの〉
　第三節　固着、昇華、そして享楽
　第四節　精神分析のグノーシス的側面
　第五節　侵犯の享楽

第五章　自己固有の欲望──ラカンによるソフォクレス『アンティゴネー』の注釈
　第一節　欲望という問い
　第二節　「書かれない法」
　第三節　「生まれてこないほうが」

第六章　転移の本質──「愛される者」から「愛する者」へ
　第一節　アルキビアデスとソクラテス
　第二節　愛憎関係の帰結としての死

第七章　「女性の享楽」と「父の諸名」──ラカンによるポール・クローデル『クーフォンテーヌ三部作』の注釈
　第一節　戯曲の梗概と時代的背景
　第二節　〈女〉の〈父〉に対する嘲弄
　第三節　〈女〉による去勢
　第四節　欲望の再誕


後　　記
注　　
事項索引
人名索引

著：桑原　旅人
2023年、東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了、博士（学術）。千葉大学、法政大学、洗足学園音楽大学、帝京科学大学で非常勤講師。

主要業績
「「大他者における欠如のシニフィアン」と「対象a」─ジャック・ラカンによる『ハムレット』註釈の理論的意義」（『フランス哲学・思想研究』第22号、2017年）、「欺かれない者たちの生─ジャック・ラカンとモーリス・ブランショの思索的共鳴」（『フランス哲学・思想研究』、第25号、2020年）、「萩原朔太郎『猫町』における「形而上の実在世界」─ジル・ドゥルーズの「超越論的経験論」との比較から」（『表象』、第16号、2022年）。