出版書誌データベース

日常の身近な技術に注目することで意識していなかった文化の前提や原因を発見するために

音楽や映像や趣味など、私たちにとって身近な日常文化を、技術の「マテリアル」「インターフェース」「インフラストラクチャー」「システム」の四つの分析水準から考え、読み解く最新テキスト


執筆者紹介（*は編者）

梅田 拓也*（ウメダ タクヤ）
同志社女子大学学芸学部
メディア創造学科助教
担当：はじめに，第1章，本書関連ブックリスト

近藤 和都*（コンドウ カズト）
大東文化大学社会学部専任講師
担当：はじめに，第9章，本書関連ブックリスト

新倉 貴仁*（ニイクラ タカヒト）
成城大学文芸学部
マスコミュニケーション学科准教授
担当：はじめに，第14章，本書関連ブックリスト

辻井 敦大（ツジイ アツヒロ）
立命館大学衣笠総合研究機構専門研究員
担当：第2章

遠藤 みゆき（エンドウ ミユキ）
東京都写真美術館学芸員（映像部門）
担当：第3章

松井 広志（マツイ ヒロシ）
愛知淑徳大学創造表現学部准教授
担当：第4章

日高 良祐（ヒダカ リョウスケ）
東京都立大学システムデザイン研究科インダストリアルアート学域助教
担当：第5章

トマゾ・バルベッタ（Tommaso Barbetta）
東京大学大学院学際情報学府博士後期課程
担当：第6章

永田 大輔（ナガタ ダイスケ）
明星大学・二松学舎大学・東京工科大学・日本体育大学等非常勤講師
担当：第7章

大久保 遼（オオクボ リョウ）
明治学院大学社会学部准教授
担当：第8章

松山 秀明（マツヤマ ヒデアキ）
関西大学社会学部准教授
担当：第10章

太田 美奈子（オオタ ミナコ）
新潟大学人文学部助教
担当：第11章

飯田 豊（イイダ ユタカ）
立命館大学産業社会学部准教授
担当：第12章

林 凌（ハヤシ リョウ）
独立行政法人日本学術振興会特別研究員
担当：第13章

はじめに

第1章　メディア研究と技術決定論（梅田拓也）

1　はじめに
2　マクルーハンとトロント学派（1950–60年代）
3　ウィリアムズとカルチュラル・スタディーズ（1970年代）
4　キットラーと文化技術論（1980‒90年代）
5　科学技術社会論と技術の社会的構成（1980‒90年代）
6　ANT（1990‒2000年代）
7　デジタルメディア研究（2000‒10年代）
8　おわりに

第Ｉ部　マテリアル

第2章　墓石加工技術の変容と死にまつわる平等性（辻井敦大）

1　はじめに：メディアとしての墓
2　機械化以前の墓石加工体制（‒­1960年）
3　墓石加工技術の変容と墓石原石の輸入体制の変化（1960年代）
4　墓石加工の機械化に伴う墓石の規格化と平等性
5　おわりに：技術から墓というメディアを見直すこと

第3章　写真は永遠か？
「不朽写真」としての写真陶磁器（遠藤みゆき）

1　はじめに：写真陶磁器とは何か
2　発　　明
3　万国博覧会
4　内国勧業博覧会
5　不朽写真
6　おわりに

第4章　模型というモノ＝メディア
オブジェクト指向のメディア論にむけて（松井広志）

1　模型というオブジェクトの共生
2　1920年代の金属玩具：技術発展と生産体制
3　1930-40年代の木製・代用材模型
4　1960-80年代のプラモデル
5　1990-2000年代のフィギュア
6　模型というモノ＝メディアの二重性

第5章　プラットフォームをハックする音楽
チップチューンにおけるゲームボーイ（日高良祐）

1　はじめに
2　コンピューティングと音楽の関係性を考える
3　ゲームボーイで音楽する
4　プラットフォームをハックする
5　おわりに

第II部　インターフェース

第6章　期待させる機械
現代パチンコ台のアーキテクチャと大当り予告演出（トマゾ・バルベッタ）

1　はじめに：パチンコ台のアーキテクチャと依存症
2　方法論
3　電動式ハンドル
4　デジタルパチンコの誕生：確率プログラムと大当り
5　液晶モニターとサブ基板
6　スーパーリーチ
7　おわりに：考察

第7章　「オタク的アニメ視聴」試論
ビデオの「コマ送り」が可能にした知識に着目して（永田大輔）

1　「オタク的なアニメ視聴」という問題
2　コマ送り前史としての教育的機能
3　アニメファンのリテラシーの基盤としてのビデオ受容
4　「作り手のこだわり」との結びつき
5　アニメ視聴が分かれることの意味

第8章　舞台演出と映像技術
スクリーンの物質性と空間の編成（大久保遼）

1　舞台演出と映像技術
2　スクリーンの物質性
3　舞台装置としてのスクリーン
4　移動体としてのスクリーン
5　シームレスMR／ダイナミックVR
6　文化変容と映像技術

第III部　インフラストラクチャー

第9章　フィルム，テレビジョン，ストリーミング
映像インフラストラクチャーの比較史（近藤和都）

1　はじめに
2　映画配給：フィルムの劣化
3　テレビ放送：番組の再編集
4　動画配信：ストリーミングの調節
5　おわりに

第10章　アンテナ塔のある風景
1920年代のラジオ都市（松山秀明）

1　ラジオというメディア技術
2　アンテナ塔のある風景
3　戦後のアンテナ塔へ：放送技術と都市空間

第11章　「線」と「円」のテレビ史
青森県を事例としたテレビ電波の考古学（太田美奈子）

1　「線」の放送制度と「円」の放射電波
2　県都・青森市にテレビが来るまで
3　電波に恵まれなかった都市／恵まれた辺境
4　現在の区域外波受信
5　テレビ受容がブリコラージュだった頃

第IV部　システム

第12章　ビデオを「撮ること」と「視ること」のリテラシー
1960–70年代における電子映像の民主化（飯田　豊）

1　映像の民主化をめぐるジレンマ
2　技術としてのビデオ：「撮ること」と「視ること」の同時性／再帰性
3　文化としてのビデオ：テレビとの対抗関係
4　ビデオの技術と文化のメディア論

第13章　私たちは何を登録してきたのか
キャッシュレジスターのメディア史（林　凌）

1　はじめに
2　機械式レジスターの導入：日本小売業における「会計の近代化」とその契機
3　情報登録器としてのキャッシュレジスター：その着想と限界
4　POSの導入とその効用：商品販売状況の可視化とそのアーキテクチャ
5　おわりに

第14章　文化＝能率？
大量生産技術のメディア論（新倉貴仁）

1　はじめに
2　日本における文化
3　ミドルクラス
4　科学的管理法の紹介と能率
5　大量生産技術の歴史
6　能率展覧会
7　能率の主題
8　能率の対象の拡大
9　おわりに

本書関連ブックリスト

事項索引
人名索引

編：梅田　拓也
同志社女子大学学芸学部メディア創造学科助教

編：近藤　和都
大東文化大学社会学部専任講師

編：新倉　貴仁
成城大学文芸学部マスコミュニケーション学科准教授