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フィギュール彩

ドラキュラの精神史

著:小野 俊太郎

紙版

内容紹介

境界を「超える(トランス)」ドラキュラ像!

「ドラキュラ」の名前ぐらいは誰しもが知っている。

それほど、私たちの日常にいつの間にか
入り込んでいるドラキュラの実像を、
原作小説を綿密にたどることによってあぶり出す。

◎単なる被害者にしか見えない
ジョナサンとミナのハーカー夫妻だが、
彼らはどのような役目をはたすのか?

◎オランダからやってきたヴァン・ヘルシング教授、
さらに精神病院を経営するシュワード博士とは
いったい何者で、ドラキュラ伯爵と
身体と精神のレヴェルでどんな戦いをしているのか? 

◎そもそもこの小説が
五月三日の日付で始まり十一月六日で終わったのは
なぜなのか?

◎タイプライターや写真といった
新しいメディアや流行を取り入れているのは、
社会風俗を描く「新機軸」(平井呈一)にすぎないのか?

目次

はじめに ドラキュラは死なない

第1章 異邦のなかの異邦人

オリエントに迷い込んだ者
オリエントから迷い込んだ者
ドラキュラのオリエント化計画

第2章 戦争としての『ドラキュラ』

ドラキュラと聖戦の記憶
トランシルヴァニアとアメリカ
大英帝国を防衛する

第3章 身体という戦場

ヴァン・ヘルシングと身体の争奪戦
帝国よりも大きくゆるやかに
ルーシーとミナの結びつき

第4章 精神という戦場

ヒステリーと睡眠不足
見えない意識を探る=操る
欲望の封印と孤独の治療

第5章 ホラーとテラーの間で

外部をむさぼり食らうロンドン
アイルランドとドラキュラ
火薬とテロリズム

第6章 視覚的に増殖する

ドラキュラと暗い部屋
映画に変身するドラキュラ
孤高の伯爵から学校の友だちへ

第7章 ジャパネスク・ドラキュラ

小説の日本化の試み
横溝正史『髑髏検校』
半村良『石の血脈』
山田正紀『氷河民族/流氷民族』
小野不由美『屍鬼』
萩耿介『鹿鳴館のドラクラ』
ドラキュラの日本化

おわりに 複製されるドラキュラ

著者略歴

著:小野 俊太郎
おの・しゅんたろう
文芸評論家。
1959年、札幌生まれ。
文芸評論家、成蹊大学などでも教鞭を執る。
著書に
『ウルトラQの精神史』、『ゴジラの精神史』、
『フランケンシュタインの精神史』、
『スター・ウォーズの精神史』(彩流社)、
『モスラの精神史』(講談社現代新書)、
『大魔神の精神史』(角川oneテーマ21新書)
など多数。

ISBN:9784779170829
出版社:彩流社
判型:4-6
ページ数:256ページ
定価:1800円(本体)
発行年月日:2016年12月
発売日:2016年12月17日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:FB