戦間期にドイツ・イタリアに次ぐ強力なファシズム運動が展開された
ルーマニアの政治史!
戦間期ルーマニアに現れた軍団運動(大天使ミカエル軍団/鉄衛団)は、20年以上の驚異的な持続力を持つとともに、1937年には国内最大の大衆運動に成長し、第三党に躍進、1940年には政権参加を果たすなど、30年代のルーマニア政治の帰趨を左右した。その一方で、死の崇拝といった独特の神秘主義や、政治家の暗殺、ユダヤ人迫害などの激烈な行動が大きな注目を集め、戦間期ヨーロッパに存在した最も特異な政治組織と評された。同時に、軍団と対峙した体制側も特異な性格を有していた。19世紀以来の寡頭的な議会制が存続するとともに、その崩壊後に樹立された国王独裁も、国王の恣意的な権力行使・物理的暴力への過度の依存という点で突出していた(「スルタン主義」に傾斜)。さらに、「体制」と「運動」の間には極めて複雑なダイナミクスが生じ、最終的には両者における最も赤裸々な暴力が直接対峙するという事態が生じる。この体制変動過程の実証的分析、体制-運動ダイナミクスの解明が本書の中心テーマである。
◆本書の特色
● 軍団運動と「体制」の間に展開されたダイナミックな政治的・社会的関係の解明。
● 一九三〇年代の「軍団」運動の上昇が、ルーマニアの政治体制の変容──立憲主義議会政治から国王独裁体制、さらに準ファシズム体制へ──の過程における「阻害」、「弾圧」、「利用」、「協調」、「激突」など様々な状況の詳細な記述。
● 戦間期ヨーロッパにおける最も暴力的な運動と最も赤裸々な独裁が対峙したルーマニアの特徴である政治過程を平明な文章で描き、専門書を一般読者にも近づけた労作。