古代人は、緑色の神秘的な石――ヒスイを重用しました。たとえば、縄文、弥生、古墳の各時代からヒスイの大珠や勾玉などが発見されていることからも、明らかです。また、ヒスイの勾玉はアマテラスオオミカミに献上され、三種の神器の一つになりました。縄文人から弥生人へと継承されたヒスイですが、奈良時代以降、ヒスイの文化は日本から忘れ去られてしまいました。昭和初期になり、新潟県糸魚川市がヒスイの産地であることが確認されました。ヒスイは長らく大陸(中国)から伝来したものだと考えられてきたため、日本が世界最古のヒスイ文化の国であることが認識されました。本書では、なぜ古代人はヒスイに魅かれたのか、そして、縄文時代から脈々と受け継がれてきたヒスイの文化はなぜ消えてしまったのか、その歴史の謎に迫ります。