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世界ハンセン病疫病史

ヨーロッパを中心として

著:犀川 一夫
著:森 修一
著:石井 則久

紙版

内容紹介

「ハンセン病医療ひとすじ」に歩んだ著者の遺作。
疾病は古くから戦争や民族の移動、移住、交易、文化の流行を通じて拡散した。
特に戦争は貧困と疾病の蔓延をもたらしてきた。この歴史は今に続く。
宗教と科学のハンセン病対策への試行錯誤のすえ、数千年に及ぶ悲劇の歴史は終わろうとしているが、未だハンセン病問題は存在し、多くの人が苦しみ続けてい るのだ。
本書は、中断した犀川一夫氏の遺作を二人の後進が書き継いだものである。ハンセン病の発生から現在にいたるまでの、世界規模での通史が、ここに完結した。

目次


はじめに

Ⅰ.古代、中世を中心に
 緒言

第1章 疫病的状況
 1 ヨーロッパへの侵襲
 2 ハンセン病侵襲の機会
 3 ギリシアのハンセン病
 4 ローマのハンセン病
 5 ヨーロッパ内陸部のハンセン病
 6 ハンセン病患者の数
 7 患者の減少
 8 ハンセン病消滅の原因

第2章 政策的状況
 1 政策の歴史
 2 政策の内容
 3 各国の立法措置状況
 4 法の内容

第3章 医学的状況
 1 ハンセン病の医学的概念の変遷
 2 ハンセン病の伝染説
 3 ハンセン病の遺伝説
 4 疫学調査
 5 ハンセン病専門医の業務
 6 検査診断
 7 病型分類

第4章 社会の状況
 1 偏見と差別
 2 社会不安
 3 病者への労り
 4 キリスト教徒とハンセン病

稿を終えて

附記
あとがき
参考文献


Ⅱ.近代、現代を中心に
 緒言

第1章 公衆衛生政策としての隔離の始まり―1815年‐1910年頃―
 1 遺伝説から感染説へ
 2 世界における隔離の提唱
 3 アメリカ合衆国の隔離政策
 4 イギリスによる隔離政策
 
第2章 隔離政策の近代化とその変遷―1910年頃‐1925年頃まで―
 1 公衆衛生策としての隔離の進展
 2 近代の隔離政策の概念
 3 アメリカ合衆国による隔離政策の進展
 4 イギリスによるハンセン病政策の進展
 5 宗教から医学へ

第3章 絶対隔離政策確立とその要因―1926年‐1945年―
 1 ハンセン病研究の国際的統合
 2 アメリカ合衆国における隔離の近代化
 3 イギリスの隔離政策の転換

第4章 ハンセン病からの解放
 1 プロミン以降の世界のハンセン病政策の変遷
 2 ミッションの活動の変革
 3 国際救らい団体連合によるハンセン病制圧活動の進展
 4 笹川記念保健協力財団(SMFH)とハンセン病制圧活動
 5 国際らい学会の活動とその変遷

第5章 プロミン以降のハンセン病政策
 1 新しい時代のハンセン病対策
 2 東南アジアおよび西太平洋地域のハンセン病政策 1960年代
 3 韓国のハンセン病対策1945‐
 4 米国のハンセン病政策の終焉
 5 イギリスのハンセン病政策の終焉
 6 ハンセン病の現状と未来

ハンセン病の夜明け

参考文献

著者略歴

著:犀川 一夫
ハンセン病医療専門医。日本で最初にハンセン病特効薬「プロミン」を使った医師の一人である。
1918年東京代々木に生まれ、44年東京慈恵会医科大学を卒業。その後国立療養所長島愛生園に勤務。53年、ラクノー会議に出席し、当時まだ日本で一般 化していなかった在宅医療制度に衝撃を受ける。WHO西太平洋地区らい専門官、琉球政府らい専門官及沖縄愛楽園長。国立療養所沖縄愛楽園長、沖縄県ハンセ ン病予防協会理事長など歴任するかたわら、在宅医療制度の普及、療養所の環境改善、回復患者の更正事業、人権回復運動に尽力した。
著:森 修一
東京大学大学院総合文化研究科相関基礎科学系博士課程学術博士、医学博士。
国立感染症研究所ハンセン病研究センター 感染制御部第7室室長。
著:石井 則久
横浜市立大学医学部医学博士。
国立感染症研究所ハンセン病研究センター センター長。

ISBN:9784774404769
出版社:皓星社
判型:A5
ページ数:358ページ
定価:5800円(本体)
発行年月日:2012年10月
発売日:2012年10月30日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:MBN