ユートピアのアクチュアリティ
政治的想像力の復権
編著:菊池 理夫
編著:有賀 誠
編著:田上 孝一
内容紹介
閉塞したこの時代のなかで,私たちの思考にはめられた足枷を外す鍵となるのは,「ユートピア的想像力」の復権だ.本書は,ユートピア思想の歴史と,現代の様々な学問分野で発現しているユートピア的モメントを紹介しつつ,そのアクチュアリティのありかを探し出そうとする果敢な試みである.
目次
序 章 ポストコロナのユートピアと暴力 (菊池 理夫)
はじめに
1 ユートピアと暴力
2 近代化と暴力――イギリス――
3 近代化と暴力――アメリカ――
おわりに――ポストコロナのユートピア――
第Ⅰ部 ユートピアの思想史
第1章 古代ギリシアのユートピア思想 (近藤 和貴)
――クセノポンを中心に――
はじめに
1 プラトンとアリストテレスのユートピア論
2 クセノポンのスパルタ・ペルシア論
3 クセノポンのアテナイ論
おわりに
第2章 モアとルネサンス・ユートピア (菊池 理夫)
はじめに――『ユートピア』と『太陽の都』――
1 『ユートピア』とレトリックの伝統
2 『太陽の都』と魔術的伝統
おわりに――近代国家と資本主義を超える海賊ユートピア――
第3章 科学によるユートピア (結城 剛志)
――イギリス社会主義の誕生――
はじめに
1 科学によるユートピアの登場
2 ユートピア批判としての科学
3 オウエンの社会主義
4 ユートピアのかたち
おわりに
第4章 初期ドイツ社会主義 (石塚 正英)
――19世紀ドイツの手工業職人ヴァイトリングの〈社会的デモクラシー〉――
はじめに
1 1848年革命の現実
2 人民統治の欺瞞
3 ヴァイトリングのユートピア実践
4 サン=シモン型とフーリエ型のユートピア実践
5 〈労働共和国〉の歴史的意義
6 交換銀行論の系譜――プルードン・ヴァイトリング・ゲゼル――
おわりに
第5章 初期フランス社会主義とユートピア (杉本 隆司)
――サン=シモンとフーリエ――
はじめに
1 「ユートピア社会主義」という概念
2 産業主義のユートピア――H. サン=シモン――
3 文明批判のユートピア――C. フーリエ――
おわりに
第6章 マルクスとユートピア (田上 孝一)
はじめに
1 非科学としての科学的社会主義
2 エンゲルスによる無責任な未来社会構想
3 利潤分配制市場社会主義
4 初期著作に見られる理想的な人間関係
5 後期著作に見られる理想的な人間関係
おわりに
第7章 日本のユートピア (菊池 理夫)
――縄文から新人世まで――
はじめに――東洋にユートピアはあるのか――
1 縄文社会は「常世」なのか
2 一向一揆は「千年王国」運動なのか
3 江戸時代に「桃源郷」はあるのか
4 明治国家は「大同」の実現をめざしたものなのか
おわりに
第Ⅱ部 現代のユートピア
第8章 キリスト教思想のユートピア的モメント (有賀 誠)
――A. バディウとS. ジジェクのキリスト教的転回――
はじめに
1 宗教の終焉?――R. ドーキンスの宗教批判――
2 「出来事」としてのキリスト――A. バディウ――
3 キリスト教と「政治的なもの」――S. ジジェク――
おわりに
第9章 文学とユートピア (渡辺 幸子)
――ドイツ文学を中心に――
はじめに
1 ユートピア文学と空想旅行記
2 ドイツのユートピア
3 可能性のユートピア
4 SFのユートピア
おわりに――内なるユートピアの芸術性――
第10章 政策とユートピア (奥田 恒)
はじめに
1 本章の狙いと意義
2 ベーシック・インカムの概要
3 イデオロギーとベーシック・インカム諸構想
4 社会経済的変化とベーシック・インカム
おわりに
第11章 法とユートピア (見崎 史拓)
――クロッカーのディストピア憲法論とタシュネットのユートピア憲法論――
はじめに
1 共通の基盤――法解釈におけるヴィジョンの分離不可能性――
2 ディストピア憲法論――法の中の『1984年』――
3 ユートピア憲法論――革新派の長期的理想――
4 検 討
おわりに
第12章 リベラリズムとユートピア (田中 将人)
――ロールズ、ノージック、コーエン――
はじめに――リベラリズムとユートピアはいかなる関係でありえるか――
1 ユートピア/ディストピアの四類型
2 ユートピアと〈反転化問題〉
3 ユートピアと〈自閉化問題〉
4 ユートピアとリベラリズム
おわりに
ISBN:9784771036246
。出版社:晃洋書房
。判型:A5
。ページ数:266ページ
。定価:3200円(本体)
。発行年月日:2022年04月
。発売日:2022年04月13日
。国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JB。