現代に生きる陽明学
『伝習録』(巻の下)を読む 桜下塾講義録
著:吉田 和男
内容紹介
現代を生きる「心」の行動学
物質万能主義が横行し混迷を極める現代を生き抜くために、陽明学は、知と行は合一である、物を正して知を致す、良知を致す、万物は一体である、などの言葉で指針を与えてくれる。本書では、『伝習録』巻の下を読解。現代の日本人が忘れている「心」の修養を軸に、現代を生きる行動学として新しい時代を切り開く「心」の境地を探る。
目次
はじめに
第一章 陽明学とは
1 陽明学とは
2 王陽明の人となり
3 日本での陽明学
4 伝 習 録
第二章 陳九川所録
1 王陽明との出会い
2 誠意と格物
3 究理と物
4 静 と 動
5 心が流されない
6 静坐と事上磨錬
7 陸象山について
8 致 知
9 全ての人が聖人
10 試 金 石
11 鉄を金に
12 致知の説
13 体験の重要性
14 天の仕組み
15 道
16 朋 友
17 常に快活であること
18 修養には勇気が必要
19 心と読書
20 役所の仕事も格物
21 良知は乾元
22 食事の消化
23 生知と学知
第三章 黄以方所録
1 黄 以 方
2 功業・気概節操
3 憤りを発して食を忘れる
4 惟れ精惟れ一の修養
5 知行合一
6 ただ一個の天理
7 ただ一個の善悪
8 ただ一つの誠
9 道を修める
10 動と静は合一
11 荘重すぎれば弊害
12 文章だけでは誠意は立たない
13 議論の軽重
14 怒 り
15 形 相
第四章 黄修易所録
1 空空蕩蕩
2 光 明
3 格物の上にあって修養
4 道に志し
5 書を読むこと
6 氣もまた性
7 助長を排す
8 良知は霊根
9 感 化
10 人とともに善を為す
11 卜 筮
第五章 黄省曾所録
1 義とはすなわち良知
2 思 無 邪
3 道心・人心
4 資質の差
5 書の理解
6 川上の嘆
7 志士仁人
8 叔孫武叔の孔子批判
9 静 坐
10 曾點の志
11 聖人の教えは簡易
12 真血脈路
13 志
14 造化の精霊
15 致 良 知
16 地道な修養
17 良知の真髄
18 道 は 教
19 戒慎恐懼
20 夜間の良知
21 夜 氣
22 道教と仏教
23 仏教と天下
24 異端とは
25 不 動 心
26 内外に分ける過ち
27 万物一體
28 心 と 花
29 厚 薄
30 万物一體は実體
31 殀寿たがわず
32 病根を去る大本
33 払子より実践
34 良知は幾
35 知ることはないが、知らないことはない
36 聡明叡智
37 遠慮と将迎
38 天を怨みず、人を尤めず
39 巧力聖智の説
40 天 運
41 是非の心
42 聖人の知は太陽
43 七 情
44 孝 行
45 楽しみは心の本體
46 枝 節
47 親 孝 行
48 是非の心
49 烝烝としておさまり姦をたださず
50 古 楽
51 外からの刺激
52 根本を学ぶ
53 過 ち
54 心の落ち着き
55 琴や書物
56 善があれば、人とともに行う
57 過不及が分かることが中和
58 上に悪むところ、もって下を使うことなかれ
59 蘇秦、張儀
60 未発と已発
61 性善説と性悪説
62 修養の努力
63 楊 慈 湖
64 一日は古今の時間
65 狂 者
66 満街の人は聖人
67 謙 之
68 四 句 教
69 陽明学の隆盛
第六章 黄以方所録
1 博く文を学ぶ
2 格物致知
3 竹 の 理
4 子供の格物
5 知行合一
6 知行合一・心即理
7 心
8 格物と慎独・集義・博約
9 徳性を尊ぶ
10 性
11 声色貨利
12 致知格物
13 心の本體は寂然不動
14 見えなく聞けないが良知の本體
15 鳶飛び魚躍る
16 茫茫蕩蕩
17 修養の効果
18 命を立てる修養
19 性は近く、習いは遠い
20 些かの念
21 人心と物とは同体なり
22 実相と幻相
23 老 学 者
24 傲
25 至簡至易と至精至微
26 顔 回
27 拱把の桐梓
28 王陽明の死と『伝習録』の編纂過程
第七章 大 学 問
1 大人の学問
2 万物一體
3 小人の心
4 万物一體は自然の姿
5 明徳・親民・万物一體
6 至 善
7 至善と親民
8 至善は自分の心にある
9 物に本末有り
10 明明徳から格物まで
11 善悪の区別と致知
12 良知と是非の心
13 物 と 事
14 先後順序
15 『大学問』の出版
16 聖 学
第八章 示弟立志説
1 守 文
2 立 志
3 先覚に正す
4 立 志
5 敬 義
終章 誰にでもできる陽明学 ――巻の上・中・下のまとめとして――
1 良 知
2 天理人欲
3 格物致知
4 知行合一
5 事上磨錬
6 万物一體の仁
7 誰にでもできる「陽明学」
あとがき