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水産科学は水圏の物理・化学や生物、生態学などの基礎科学的側面とともに、日本の食料安全保障と海洋生態系保全に関する実学的・応用科学の側面をも有している。本書は、そのような水産科学の学際性・多様性、そして実業界との緊密な関係を反映し、資源学、生態学、海洋学、経済学、政策学など、幅広い研究分野の専門家のみならず、漁業者や国・自治体、実業界、業界団体（漁業のみならず洋上風力発電業界も）を執筆陣に迎えた。新水産基本計画の全体像を意識した俯瞰的議論を行うとともに、水産の現場と研究の乖離を埋め、実効的な水産政策を実施するための水産科学の役割や、現場と協働した水産科学の可能性という観点から議論をまとめ、その成果を取りまとめている。

目次：第1部　環境変化と水産資源管理（第1章　水産資源の評価・管理の最新理論と政策（北門利英）／第2章　沿岸資源の評価と管理（片山知史）／第3章　沿岸漁業における「新たな資源管理」と「海洋環境変化」（三浦秀樹）／第4章　気候変動と不漁問題（中田 薫））　第2部　水産業の成長産業化（第5章　沿岸漁業の持続性と漁村地域の存続（板谷和彦）／第6章　地域漁業の成長産業化の方向性と課題（工藤貴史）／第7章　日本の養殖業における現状と成長産業化の課題（金柱 守）／第8章　エコラベルと水産物輸出の促進―ロゴの効果的なデザインに関する一考察―（大石太郎）／第9章　沿岸漁業におけるDX実装に向けた課題（桑村勝士））　第3部　地域を支える漁村の活性化（第10章　漁業関係者による浜プランの改善の仕組み「浜の道具箱」（竹村紫苑）／第11章　現場の求める事前復興―福島県における震災・原発事故への対応を基に―（鷹﨑和義）／第12章　水産物地域流通の再評価と再構築の検討（副島久実）／第13章　ブルーカーボンを活用した水産業からの気候変動対策とその社会実装（堀 正和）／第14章　洋上風力と漁業の共存の道をさぐる（塩原 泰））　第4部　総合討論（第15章　水産科学：現場と政策の乖離を埋めるために必要な研究とは（森下丈二））

第1部　環境変化と水産資源管理（第1章　水産資源の評価・管理の最新理論と政策（北門利英）／第2章　沿岸資源の評価と管理（片山知史）／第3章　沿岸漁業における「新たな資源管理」と「海洋環境変化」（三浦秀樹）／第4章　気候変動と不漁問題（中田 薫））
第2部　水産業の成長産業化（第5章　沿岸漁業の持続性と漁村地域の存続（板谷和彦）／第6章　地域漁業の成長産業化の方向性と課題（工藤貴史）／第7章　日本の養殖業における現状と成長産業化の課題（金柱 守）／第8章　エコラベルと水産物輸出の促進―ロゴの効果的なデザインに関する一考察―（大石太郎）／第9章　沿岸漁業におけるDX実装に向けた課題（桑村勝士））
第3部　地域を支える漁村の活性化（第10章　漁業関係者による浜プランの改善の仕組み「浜の道具箱」（竹村紫苑）／第11章　現場の求める事前復興―福島県における震災・原発事故への対応を基に―（鷹﨑和義）／第12章　水産物地域流通の再評価と再構築の検討（副島久実）／第13章　ブルーカーボンを活用した水産業からの気候変動対策とその社会実装（堀 正和）／第14章　洋上風力と漁業の共存の道をさぐる（塩原 泰））
第4部　総合討論（第15章　水産科学：現場と政策の乖離を埋めるために必要な研究とは（森下丈二））

編：牧野光琢
現職：東京大学教授
略歴：京都大学農学部水産学科卒　ケンブリッジ大学修士、京都大学博士（人間・環境学）、横浜国立大学博士研究員、水産研究・教育機構水産政策グループ長などを経て、2019年4月より現職。
専門：水産・海洋保全政策
著書：『Fisheries Management in Japan』（単著、Springer）、『日本漁業の制度分析：漁業管理と生態系保全』（単著、恒星社厚生閣）、『日本の海洋保全政策：開発・利用との調和をめざして』（単著、東京大学出版会）など多数。

編：石川智士
現職：京都府立大学農学食科学部和食文化科学科教授
略歴：下関水産大学校増殖学科卒、広島大学大学院生物圏科学研究科博士前期課程修了、東京大学大学院農学生命科学研究科博士後期課程修了（博士（農学）東京大学）、東京大学農学部リサーチアソシエイト、（株）国際水産技術開発研究員、JST・CREST研究員、東海大学海洋学部教授、総合地球環境学研究所教授を経て、2023年4月より現職。
専門：集団遺伝学、国際水産開発学ー生物多様性に配慮した持続的漁村振興に関する研究を日本と東南アジアを中心に展開している。
著書：『地域と対話するサイエンス」（編著、勉誠出版）、『地域が生まれる、資源が育てる』（編著、勉誠出版）、『コモンズとしての海』（分担執筆、西日本出版）など多数。