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日中戦争の国際共同研究 6

日中終戦と戦後アジアへの展望

編:波多野 澄雄
編:久保 亨
編:中村 元哉

紙版

内容紹介

▼日中戦争をとらえなおす国際共同研究シリーズ第6巻。

▼1945年の日中終戦のグローバルなインパクトとその遺産を、
・終戦にともなう国際秩序の再編と戦後構想の展開、さらに東アジアに与えた影響、
・日中戦争を通じた中国の変容と、戦後中国の政治経済の再建に与えた影響、
・中国の辺境と東南アジア地域がどのように変化したか、
 という側面から、日本・中国・台湾・韓国・英国の研究者が多角的に分析する。

目次

『日中戦争の国際共同研究』(第6巻)に寄せて

総論 日中終戦と戦後アジアへの展望   編者

  <b>第1部 日中終戦と戦後構想</b>

第1章 太平洋戦争末期における日本の対中和平構想   戸部良一
 はじめに
 一 重慶「政治」工作
 二 小磯内閣の対中和平案
 三 南京政権への「信義」
 おわりに

第2章 戦争末期の日中戦争と日ソ関係
――「日中ソ」提携構想をめぐって   波多野澄雄
 はじめに
 一 国共関係の変化と対ソ政策
 二 重光外相と「容共」問題
 三 日中ソ提携構想
 四 もう1つの和平論
 五 広田・マリク会談と日中ソ提携構想
 おわりに

第3章 韓国臨時政府の本国帰還問題に対する中国国民政府の対応
――終戦前後における東北アジア国際秩序再構築の一側面
裴京漢(丸田孝志訳)
 はじめに
 一 戦争終結前の国民政府の対韓国政策構想
 二 戦後韓国臨時政府の本国帰還問題と国民政府の立場
 おわりに

第4章 国共内戦下の戦後日中提携
――支那派遣軍と国民政府   加藤聖文
 はじめに
 一 ポツダム宣言受諾と「対支処理要綱」
 二 支那派遣軍と国民政府の接近
 三 日本人の留用と送還
 おわりに

第5章 台湾における日本人墓地および遺骨の処理問題   浜井和史
 はじめに
 一 復員・引揚げ時における遺骨処理
 二 戦後における日本人墓地および遺骨の状況と日本政府の対応
 三 日本人墓地および遺骨をめぐる日台交渉とその帰結
 おわりに
 
  <b>第2部 中国の変動</b>

第6章 戦後中国における憲政への移行と警管区制   吉見 崇
 はじめに
 一 警管区制と自由・憲政
 二 上海市警察局が主張する警管区制 
 三 アメリカ型の警察制度としての警管区制 
 四 警管区制をめぐる対立のゆくえ
 おわりに

第7章 戦後中国の税政と工商同業公会
――上海の貨物税制度を素材に   金子 肇
 はじめに
 一 戦後上海の貨物税制度――1946年「貨物税条例」を対象に
 二 貨物税稽徴業務と工商同業公会の反発
 おわりに

第8章 1940-50年代の中国経済と日中関係   久保 亨
 はじめに
 一 大戦終結前後の中国経済と日中経済関係――1940年代
 二 1950年代の貿易構造と対外依存症
 三 対外依存症克服の努力――1940-50年代
 四 1950年代の日中経済関係
 おわりに

第9章 国民党政権と南京・重慶『中央日報』
――戦時から戦後にかけての自立化傾向   中村元哉
 はじめに
 一 制度と政策から見た南京・重慶『中央日報』
 二 ジャーナリズム学と南京・重慶『中央日報』の人事
 三 国民党政権と南京・重慶『中央日報』社論
 四 『中央日報』の経営自立化への道程
 おわりに

第10章 リベラル派知識人の国際情勢観
――1945年前後を中心に   水羽信男
 はじめに
 一 国際情勢認識(1)――政治的な側面
 二 国際情勢認識(2)――思想的な観点から
 おわりに

第11章 錯綜する願い
――国民政府教育部に寄せられた学生の手紙から
アーロン・W ・ムーア(李仁哲訳)
 はじめに
 一 若者の動員と国民党の革命的伝統
 二 中断された生活――教育部への陳情
 おわりに――浪費された資源と失われた青春

  <b>第3部 東南アジアの変動</b>

第12章 戦争・民族・国家
――抗戦前後における雲南土司の苦境と選択:1942-1952
呉啓訥(藤井元博訳)
 はじめに
 一 苦境と伝統のつながり
 二 保家、保族のための抗戦参加
 三 切迫した危機の消失と旧来の苦境の再来
 ――国民政府および土司の選択と妥協
 四 新たな主人との対面
 ――人民共和国成立期における歴史的慣性と最終的な転換
 おわりに

第13章 重慶国民政府のビルマ国境政策と軍事占領 1942-1945
藤井元博
 はじめに
 一 ビルマ反攻以前における重慶政府の国境問題意識
 二 民族問題への波及
 三 土司をめぐる中英間の対立
 四 再占領と管轄権をめぐる議論
 五 イギリス植民地側から見た国境問題
 おわりに

第14章 日中終戦前後の国民政府と東南アジア
――重慶当局の戦後ラオスに対する構想および実践を中心に
王文隆(柳英武訳)
 はじめに
 一 三・九クーデタ(仏印処理)前の中華民国とラオスの関係
 二 中泰回廊開拓の構想
 三 三・九クーデタ(仏印処理)より占領降伏まで
 おわりに

特論  南京大虐殺と難民の宗教生活   張連紅(土肥歩訳)
 はじめに
 一 南京大虐殺時期のキリスト教コミュニティ
 二 難民収容所における宗教活動
 三 難民のキリスト教認識の変化
 四 宗教の違いを超えて
 おわりに


あとがき   波多野澄雄・久保亨・中村元哉
編者・執筆者紹介/訳者紹介
索引

著者略歴

編:波多野 澄雄
波多野 澄雄
国立公文書館アジア歴史資料センター長、筑波大学名誉教授。
1947年生まれ。慶應義塾大学大学院法学研究科博士課程単位取得退学、博士(法学)。専門分野は日本外交史。主要著作に、『太平洋戦争とアジア外交』(東京大学出版会、1996年)、『歴史としての日米安保条約』(岩波書店、2010年)、『国家と歴史―戦後日本の歴史問題』(中央公論新社、2011年)など。
編:久保 亨
久保 亨
信州大学人文学部教授。
1953年生まれ。一橋大学大学院社会学研究科博士課程中退、修士(社会学)。専門分野は中国近現代史。主要著作に、『戦間期中国〈自立への模索〉―関税通貨政策と経済発展』(東京大学出版会、1999年)、『戦間期中国の綿業と企業経営』(汲古書院、2005年)、『シリーズ中国近現代史(4) 社会主義への挑戦:1945-1971』 (岩波新書、2011年)、など。
編:中村 元哉
中村 元哉
津田塾大学学芸学部教授。
1973年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了、博士(学術)。専門分野は中国近現代史、東アジア国際関係論。主要著作に、『戦後中国の憲政実施と言論の自由1945-49』(東京大学出版会、2004年)、『講座東アジアの知識人5―さまざまな戦後』(共著、有志舎、2014年)、『対立と共存の日中関係史―共和国としての中国』(講談社、2017年)、など。

ISBN:9784766424867
出版社:慶應義塾大学出版会
判型:A5
ページ数:320ページ
定価:4200円(本体)
発行年月日:2017年11月
発売日:2017年11月09日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:NHF
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:1FPC