出版書誌データベース

◎医学と文学、二つの学問領域の交錯が生み出す豊かな「儒医」の文芸に光を当てる

はじめに
序章　儒医についての序説
１　医陰から儒医へ
２　伊藤仁斎「儒医弁」
３　同時代の医師の言い分
４　小括
第一章　医陰の文芸――医事説話の誕生――
　一―１　医事説話
〔｢医事説話｣集の嚆矢たる『医談抄』／｢人面瘡｣説話の展開／医書に奇病の部あり／おわりに――医事説話の成長〕
　一―２　医学書と謡曲
〔曲直瀬文化圏と道三説話の流行／謡曲『仲遠』について／曲直瀬と『察病指南』講釈〕
　一―３　医事説話の行方――孫思邈説話をめぐって――
〔謡曲『孫思邈』／孫思邈説話の展開／謡曲『孫思邈』『簠簋内伝抄』の出典――吉田意安『歴代名医伝略』のインパクト〕
一―４　『しのだづま』小考　〔『簠簋抄』／龍宮から贈られたもの／孫思邈説話〕
一―５　儒医と孫思邈
一―６　名医伝と藪医譚との間
〔藪医譚の濫觴――『竹齋』／藪医譚――典薬・法印との対比／名医伝――医陰の視座から／名医伝と藪医譚との間〕
　一―７　小括
第二章　儒医の文芸
二―１　儒医・香川修庵
〔儒医一本論／自我作古／香川修庵と古義堂／伊藤東涯と医学書／再び『本草妓要』から見えるもの〕
二―２　儒学論争から医学論争、そして国学論争へ
〔戸田旭山／修庵『薬選』と旭山『非薬選』／儒学論争――すべての始まり〕
二―３　象と香川修庵
二―４　儒医の宴
〔後藤艮山六十歳賀集『祝寿編』／香川修庵六十歳賀集『奉觴篇』／香川修庵七十歳賀集『家蔵喜事』〕
二―５　伊藤長堅『明詩大観』と香川修庵
二―６　小括
第三章　都賀庭鐘雑考
三―１　著述　〔『垣根草』の作者は誰か――儒医の文芸の観点から／『通俗医王耆婆伝』〕
三―２　医学　〔香川修庵と都賀庭鐘／都賀庭鐘と上田秋成〕
三―３　書・篆・茶・漢詩　〔大枝流芳・新興蒙所と都賀庭鐘／投壺／印譜〕
三―４　庭鐘と明清文学・古文辞学
〔『徂徠先生可成談』／荻生翁と『繁野話』／古方医学と荻生徂徠〕
三―５　庭鐘と和歌
〔『英草紙』『繁野話』と和歌／都賀庭鐘と『夫木和歌抄』／都賀庭鐘と和歌集序文〕
三―６　小括
終章　おわりに
あとがき／索引（主要人名／主要書名・事項）