監:アメリカ軍戦略情報局(OSS)
アメリカ軍戦略情報局(Office of Strategic Services)
OSSは,第二次世界大戦期のアメリカにおける対外諜報・特殊作戦を担う組織で,後のCIAの直接の前身にあたる。1942年にフランクリン・ルーズベルト大統領の下で設立され,初代長官にはウィリアム・ドノバンが就任した。軍事情報の収集だけでなく,心理戦,プロパガンダ,破壊工作,レジスタンス支援など多岐にわたる活動を行い,哲学者・心理学者・言語学者・ジャーナリストなど多様な専門家が動員された点に特徴がある。とくに「敵指導者の心理分析」や「大衆心理の研究」といった当時としては先駆的な分析業務が行われ,ヒトラーの心理分析報告書もこの枠組みの中で作成された。戦後は1945年に解体され,その機能の多くは新設されたCIAおよび国防総省に継承された。
著:ウォルター・C・ランガー
ウォルター・C・ランガー(Walter Charles Langer, 1899–1981)
マサチューセッツ州ボストン生まれ。第一次世界大戦で米陸軍に従軍し,除隊後ハーバード大学に進学,1935年に博士号取得。精神分析を専門とし,1935–38年にウィーンでアンナ・フロイトの分析を受け,同時にユダヤ人精神分析家や反ナチ知識人の亡命を支援した。第二次大戦中はOSSに参加し,1943年に「ヒトラーの心理分析報告書」を作成。戦後はハーバード大学で精神分析家として活動し,非医師として初めてボストン精神分析協会およびアメリカ精神医学会に入会を認められた。
他訳:越智 啓太
越智啓太(おち・けいた)
学習院大学大学院人文科学研究科心理学専攻修了,
警視庁科学捜査研究所,東京家政大学助教授を経て,
現在:法政大学文学部心理学科教授
専門:犯罪心理学,社会心理学
〈主著〉
『ケースで学ぶ犯罪心理学』(単著,北大路書房),『すばらしきアカデミックワールド』(単著,北大路書房),『テキスト 司法・犯罪心理学』(共編著,北大路書房),『サボタージュ・マニュアル』(監訳・解説,北大路書房),『Progress & Application 司法犯罪心理学』(単著,サイエンス社),『恋愛の科学 交際戦略編』(単著,実務教育出版),『テロリズムの心理学』(編著,誠信書房),『つくられる偽りの記憶』(単著,化学同人)