本書は、神社神道の根幹をなす「祭祀」について、「言語」と「行為」という視点から考察したものである。
神社神道において多用される「神をマツル」という表現は、その内実を明瞭に説明することが難しい概念である。最小限の事実として、「マツル」とは祭祀を行う者が神に対してなんらかの働きかけを行うこと、すなわち、「行為」を実践することである。その上で本書では、祭祀における行為を指し示す言語や、行為に付随する言語を分析対象とし、祭祀という営みの理解を試みた。
構成は二篇に分かち、第一篇では、祭祀の行為を指す言語を考察し、それによって表現される行為について論じた。第二篇では、行為の周辺にある言語をもとに、祭祀の行為の実践が持つ意義や機能について論じた。結論として、祭祀者が神のために行うさまざまな働きかけの一つ一つが「神をマツル」という行為の具体内容であり、その総体が「神をマツル」ことにほかならないことを述べた。