本書は、関西方言における待遇表現の助動詞類に関する分析である。待遇表現ハル・ヤル、テ敬語、卑罵表現クサル・テケツカル・ヨルなどの使われ方を、小説を用いて分析。小説の具体的な文脈における言語使用をこまやかに観察し分析することで、「現実の言語」に近づいた研究が可能になると主張した。
さらに、関西方言話者になじみのあるマッシャロカ・デンネンのような語形、すなわち対者待遇の助動詞デス・マスを含んだ方言複合形を「デスマス転訛形」と名付け、インタビュー調査・談話資料・国会会議資料・小説を用いて考察した。センテンスとしての使用を見ることで、複合形を切り分けずに扱い、抽象度の高すぎない、現実に即した、ゆるやかな規則を見つけることに価値を見出し、複合形研究の必要性を主張した。