成果刊行について
序論 ポスト国民国家と民族の再編――国家の制度と集団の実践から考える[野林厚志]
1 なぜいま「ポスト国民国家」と「民族」なのか
2 民族概念の整理――二〇世紀後半の転換と日本の文脈
3 ポスト国民国家時代の民族の諸相と再編
4 本書の内容
5 結語――国家を問い直すための「民族」
第1章 「番」から先住民族へ――一八九〇~一九五〇年代の台湾における民族学、植民地主義と国家[陳偉智/野林厚志訳]
1 前言
2 分割統治としての植民地支配
3 植民地民族学による民族分類
4 民族分類・アイデンティティ・自治
5 結論
第2章 UNDRIP時代の先住民族――台湾の「平埔原住民族」の身分認定の課題[野林厚志]
1 緒言
2 法定原住民族と平埔族
3 原住民族委員会の平埔族に対する認識
4 平埔原住民族群身分法草案とそのインパクト
5 考察
6 結語
コミュニケーション1 国家による民族の認識と管理――コスタリカの場合[額田有美]
1 台湾の先住民族をめぐる「国家による民族の認識と管理」
2 コスタリカの事例から考える「国家による民族の認識と管理」
第3章 ブミプトラとは何か?――マレーシアにおける公定民族カテゴリーの曖昧性と階層性[左右田直規]
1 はじめに
2 マレーシアとブミプトラ
3 ブミプトラ優遇政策の展開
4 公定民族カテゴリーとしてのブミプトラ――概念としての曖昧性と諸集団間の階層性
5 ブミプトラとは何か?
第4章 オラン・アスリはブミプトラなのか?――マレーシアにおける先住民優遇政策と民族の分類をめぐって[信田敏宏]
1 はじめに
2 多民族国家マレーシア
3 オラン・アスリ
4 ブミプトラ政策
5 オラン・アスリ政策
6 オラン・アスリはブミプトラなのか?
7 おわりに
コミュニケーション2 サバ州で土地の子について考える[上田達]
1 はじめに
2 サバ州の民族構成
3 「かれら」と「わたしたち」
4 サバ人の表象
5 まとめ
第5章 Unruly〔統治されない〕――オーストラリア先住民の平等主義と差異化の動態[アンソニー・レドモンド/平野智佳子訳]
1 先住民の社会的差異化の力学
2 自律と関係性
3 オーストラリア先住民社会における分裂生成
4 結論――先住民の主権のゆくえ
第6章 オーストラリア先住民のイメージの生成――二〇二三年の国民投票におけるソーシャルメディア・キャンペーン[平野智佳子]
1 はじめに
2 研究視角
3 オーストラリアの概要
4 オーストラリア先住民
5 国家との交渉
6 改憲の是非を問う国民投票
7 「脅威」のイメージの強化
8 おわりに
コミュニケーション3 オーストラリアにおける不平等と権力の政治――レドモンド論文と平野論文への応答[ダイアナ・マッカーシー/平野智佳子訳]
第7章 ソロモン諸島で民族について考える――国家による統治とローカルな集団帰属意識のあいだ[藤井真一]
1 はじめに――ソロモン諸島において民族と呼ばれる集団は何か
2 ソロモン諸島の概要
3 国勢調査の報告書にみるエスニシティ
4 ソロモン諸島の内戦「エスニック・テンション」
5 ローカルな人びとの集団帰属意識
6 ポスト国民国家時代におけるプレ国民国家
第8章 ソロモン諸島におけるマライタ――多民族的な国民国家における反逆的な州か?[ロドルフォ・マッジオ/藤井真一訳]
1 序論――三つのアフォーダンスに焦点を当てたマライタの独立/統合の理論化
2 マライタ――抵抗の島
3 親中・反中――循環する方向転換
4 「根本的な方向転換政策」の評価
5 タフリアエ――需要、供給、および統合
6 結論
コミュニケーション4 太平洋諸島におけるサブリージョナリズムの台頭と地域国際関係の変容[黒崎岳大]
1 はじめに――国家とエスニシティをめぐる理論的視座
2 太平洋におけるエスニシティと国家形成の歴史的背景
3 サブリージョナル・グループの形成と展開
4 PIFと周辺大国との関係
5 太平洋諸島と他地域のサブリージョナリズムの比較分析
6 ポストナショナリズム時代の国家とエスニシティ
7 まとめにかえて――太平洋諸島が示す国家とエスニシティの未来
第9章 エスニシティと言語継承――なぜことばを継承するのか、しないのか[谷口ジョイ]
1 「民族」の意味するもの――「私」の民族
2 なぜ言語を継承するのか
3 言語学者は何をすべきか
4 まとめ
第10章 カラコラム・ヒンドゥークシの諸民族意識を言語から[吉岡乾]
1 はじめに
2 本論で扱う四つの言語と四つの民族
3 ヒンドゥークシ山脈の人々
4 カラコラム山脈の人々
5 そこに「民族」を意味する言語表現はあるのか
6 世界の屋根の諸民族はどう自己規定しているのか
7 おわりに――彼らの言語が何を語るのか
コミュニケーション5 国家、民族、言語――多言語社会が我々に教えてくれること[木本幸憲]
1 国家、民族、そして言語
2 近代国家の言語政策と少数言語
3 多言語使用社会と日本社会
4 結語――多言語使用社会が教えてくれること
第11章 フランス共和国モデルとエスニシティ――アフリカ移民問題をめぐって(一九四五~二〇二四)[イヴ・シャルビ/新免光比呂訳]
1 はじめに
2 経済的・社会的文脈における共和国モデル
3 移民に関する二つの虚構
4 アフリカ移民、国家に関わる問題
5 移民、排外主義的ポピュリズムの恩恵
6 結論――理性と政治的計算の失敗
第12章 近代バルカンにおける民族意識形成についての考察――ブルガリアとルーマニアの事例から[新免光比呂]
1 バルカンの歴史的地域性
2 ブルガリアにおける民族の覚醒と教会独立
3 ルーマニアにおける民族の覚醒と教会合同
4 おわりに
コミュニケーション6 民族の生成と隠蔽[三島禎子]
あとがき
索引