ライトノベルとは、その表現がパターンの組み合わせによって構成されていることが自覚された小説である。この自覚は、物語やキャラクターを独創的・唯一的なものとして捉えることを困難にしてしまう。しかしゼロ年代(2000年~2009年)頃におけるライトノベル作品には、表現がパターンの組み合わせであることを引き受けた上で、それでも物語やキャラクターを唯一的なものとして描こうとする多様な試みが認められる。その萌芽を示した『スレイヤーズ』、そして『涼宮ハルヒの憂鬱』『キノの旅』『All You Need Is Kill』『とある魔術の禁書目録』『僕は友達が少ない』『ソードアート・オンライン』というゼロ年代を代表する諸作品を詳細に読解し、それぞれのストラテジーを明らかにする。