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考古学からみた古代祭祀 2

大嘗祭の考古学

著:穂積裕昌

紙版

内容紹介

大嘗祭の本質は「天皇霊」受霊の秘儀だったのか。
折口信夫「大嘗祭論」を淵源とした古墳・埴輪祭祀論の成立過程を吟味するとともに、考古学的知見と『儀式』『延喜式』などに記載された儀礼内容を総合することにより大嘗祭と古墳時代祭祀研究に新たな地平を拓く。
前方後円墳祭祀の「首長霊」継承儀礼説は成り立つか。

目次

大嘗祭の考古学 目次

まえがき

第1章 大嘗祭と考古学をめぐる研究史
はじめに/1 折口大嘗祭論の登場/2 折口大嘗祭論の受容/3 折口大嘗祭論への批判的言説/4 考古学による折口大嘗祭論の受容と敷衍/5 奈良時代大嘗宮の発見と新たな大嘗祭論 /6 小林行雄と大嘗祭具研究/7 森浩一の大嘗祭論/8 テキストの整備/9 令和大嘗祭と新たな大嘗祭論/小結

第2章 首長霊と鎮魂~首長霊継承儀礼説の理論的背景~
1 折口大嘗祭論と「天皇霊」継承という考え方/2 古代人の死、殯宮から大嘗祭へ/3 大嘗祭論と前方円墳首長霊継承儀礼説/4 折口にみる「真床覆衾」認識の変化/5 「天皇霊」と「首長霊」/6 動詞的存在としての折口「鎮魂(タマフリ)論」/7 『令義解』の「鎮魂」釈儀と折口鎮魂論の行方/8 霊力強化としての「鎮魂」(タマフリ)/小結

第3章 大嘗祭テキストの考古学的解題
1 テキストの確認~儀式踐祚大嘗祭儀と延喜式踐祚大嘗祭式~/2 「延喜踐祚大嘗祭式」の考古学的検討/小結

第4章 大嘗祭料物の考古学的検討
はじめに/1 大嘗祭に注目する理由/2 大嘗祭で行われた儀礼/3 大嘗祭料物構成の特質/4 古墳時代祭祀遺跡出土品との対比/5 実物供献における留意点/小結

第5章 大嘗祭供神御饌の淵源~古墳時代における食物供献儀礼の展開~
1 問題の所在/2 大嘗祭の御饌とその特徴/3 纒向遺跡土坑SK3001と大嘗祭起源論/4 纒向遺跡大嘗祭起源論の問題点/5 纒向遺跡辻土壙4の遺物組成とその問題/6 石野「纒向型祭祀」論/7 食物供献儀礼に用いる容器/8 古墳出土の食物形土製品の系譜/9 死者への貝類供献とその思想/10 土俗性のある食物供献/小結

第6章 神宮御井と大嘗祭
1 問題の所在/2 荒祭宮近傍の「御井」/3 外宮・上御井社/4 御井に関する内在的意味/5 「山辺御井」/6 神宮御井の歴史的位相/小結

第7章 片流れ家の存在形態~踐祚大嘗祭式を敷衍して~
はじめに/1 家形埴輪にみる片流れ建物/2 大嘗祭で造立された片流れ家/3 大嘗祭における片流れ家の機能/4 首長居宅にみる片流れ家/5 片流れ家の存在形態/小結

第8章 大嘗宮正殿建物の伝統性~古墳時代建物の壁構造との対比から~
1 問題の所在/2 大嘗祭使用建物と正殿構造/3 古墳時代平地式住居の壁構造/4 草壁・草屋根を表現した家形埴輪/5 黒木・草葺・草壁建物の意義/小結

終章 大嘗祭に内在する伝統性とその理念
1 『日本書紀』と大嘗祭儀の照応性/2 伝統性の編集による大嘗祭儀の創出/3 大嘗祭卯日神事についての諸説/4 大嘗祭祈請文と『日本書紀』/5 「崇神紀」の祭祀伝承と「垂仁紀」二十五年一云/6 卯日神事で祈られたこと

写真・図版出典一覧
あとがき

著者略歴

著:穂積裕昌
穂積裕昌 (ほづみ ひろまさ)
1965年 三重県生まれ
1989年 同志社大学文学部文化学科文化史専攻卒業
2012年 同志社大学にて博士(文化史学)学位取得
現在 三重県埋蔵文化財センター活用支援課長

ISBN:9784639028789
出版社:雄山閣
判型:A5
ページ数:252ページ
定価:3500円(本体)
発行年月日:2022年12月
発売日:2022年12月27日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:NHF
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:1FPJ