出版書誌データベース

膨大な証拠の収集、元ナチス将校の裁判、歴史を隠蔽しようとする各国首脳との闘いなど、第二次世界大戦後、裁かれることなく一般市民として生活していたナチスの戦犯たちを追い詰めたナチ・ハンター、クラルスフェルト夫妻の生涯をかけた活動の記録が自身の回想によりよみがえる。本書は、Beate et Serge Klarsfeld, Mémoires, Paris:Fayard/Flammarion, 2015の全訳。

プロローグ　自由に与する者（アルノ・クラルスフェルト）

BEATE　ベアテ
　　ドイツでの幼少期
　　地下鉄のプラットフォームでの出会い

SERGE　セルジュ
　　ゲシュタポに追われて
　　アルノ、私の父
　　ライサとその子供たち
　　再びパリへ
　　ベアテという名のドイツ人女性
　　一九六五年、アウシュヴィッツ＝ビルケナウで――決定的な衝撃

BEATE　ベアテ
　　タイピスト兼活動家
　　ＯＦＡＪ（仏独青少年協会）から解任されて
　　キージンガーのナチ・ファイル
　　発見に次ぐ発見
　　再統一されたドイツ人女性
　　平手打ち
　　キージンガー、キャンペーン日誌（一九六八年一一月七日～一九六九年一〇月）
　　いや、アッヘンバッハを欧州委員会には行かせない

SERGE　セルジュ
　　ベアテの傍らで

BEATE　ベアテ
　　反ユダヤ主義との闘い ワルシャワとプラハで
　　チェコスロヴァキアへ向けて、いざ出発

SERGE　セルジュ
　　フランスにおけるナチ戦犯の処罰逃れに抗して

BEATE　ベアテ
　　罠にはまったリシュカ

SERGE　セルジュ
　　クルト・リシュカ関連書類
　　ヘルベルト・ハーゲン関連書類
　　リシュカ作戦

BEATE　ベアテ
　　リシュカとハーゲンまたはベアテとセルジュどちらを裁くべきか？
　　イスラエル
　　引き継がれる行動
　　闘いの代償
　　典型的ナチ犯罪人――クラウス・バルビー
　　ミュンヘンでの示威運動
　　バルビーまたの名はアルトマン
　　ラパスへ、「リヨンの虐殺者」の正体を暴く
　　爆弾事件

SERGE　セルジュ
　　空包射撃か実弾射撃か
　　バルビーの誘拐未遂

BEATE　ベアテ
　　ダッハウで逮捕され、ケルンで裁判
　　ダマスカスでの活動

SERGE　セルジュ
　　争えぬ証拠を求めて

BEATE　ベアテ
　　アルゼンチンとウルグアイの独裁政治に抗して

SERGE　セルジュ
　　衝撃的文書
　　ブスケとルゲに対する攻勢
　　テヘランのユダヤ人救助
　　ケルン裁判
　　裁きと記憶の努力
　　バルビーを力ずくでリヨンに帰還させる
　　パポン事件勃発
　　ホロコースト否定論に抗して
　　アロイス・ブルンナーを追跡する

BEATE　ベアテ
　　ヴァルター・ラウフ――処罰逃れを糾弾 チリ・サンチャゴへ
　　ヨーゼフ・メンゲレを追跡する
　　クルト・ワルトハイム事件（一九八六～一九八七年）
　　ベイルート、イスラム教地区へ

SERGE　セルジュ
狼の口の中へ
　　予期せぬ展開――ルゲ、ブスケ、パポン事件

BEATE　ベアテ
　　対ブルンナー――ニューヨークから東ベルリンへ

SERGE　セルジュ
　　ダマスカスにて――ブルンナーと対決

BEATE　ベアテ
　　ブルンナー事件――最後の新たな展開

SERGE　セルジュ
　　ロマを擁護する――ロストック、一九九二年
　　フランソワ・ミッテランとの論争
　　ユダヤ人登録カードの運命
　　トゥヴィエ―逮捕、ブスケ―告訴
　　トゥヴィエ裁判
　　パレにて――カラジッチとムラディッチに抗して
　　パポン事件

BEATE　ベアテ
　　ドイツ連邦共和国大統領選挙候補者となる

SERGE　セルジュ
ユダヤ人財産略奪と孤児への賠償に関する問題
　　正しい記憶のための騎士
　　ナチの追跡――闘いは続く
　　歴史の真実を見逃さない
　　今なお、そして最後まで闘う
　　記憶の扉を開く
　　犠牲者の声は永遠に

エピローグ
追　記　日本語版刊行によせて（セルジュ・クラルスフェルト）
謝　辞
解　説　ナチ占領下フランスにみるユダヤ人問題とゲシュタポ（渡辺和行）
監訳者あとがき（松岡智子）
人名索引

監：松岡　智子
2025年4月現在
倉敷芸術科学大学教授